Slack Desktopをご利用中に「SSL_ERROR_SYSCALL」というエラーに直面し、お困りではないでしょうか。ご安心ください、このエラーは一般的なものであり、多くの場合、簡単な手順で解決できます。
この記事では、このエラーの概要から、Windowsユーザーが今すぐ試せる最も効果的な解決策、さらには恒久的な再発防止策まで、シニアエンジニアのアシスタントとして分かりやすく解説します。結論からお伝えすると、多くの場合、PCの再起動やDNSキャッシュのクリア、またはSlackアプリのキャッシュクリアで解決します。
目次
1. Slack: SSL_ERROR_SYSCALL とは?(概要と緊急度)
「SSL_ERROR_SYSCALL」エラーは、Slackアプリケーションがサーバーとの安全な通信(SSL/TLS接続)を確立しようとした際に、何らかのシステムコール(OSへの命令)が失敗したことを意味します。
具体的には、以下のような原因が考えられます。
- ネットワーク接続の一時的な問題(DNS解決の失敗など)
- セキュリティソフトウェア(アンチウイルスやファイアウォール)による通信のブロック
- プロキシサーバーやVPNの設定が正しくない、またはSSLインスペクションを実施している
- Slackアプリケーション自体のキャッシュやファイル破損
- システムの時刻設定のずれ
このエラーが発生するとSlackが利用できなくなるため、緊急度は「中〜高」と言えますが、ご自身のPC環境やネットワーク設定を見直すことで、ほとんどの場合解決可能です。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
まずは、最もシンプルで効果が高い可能性のある解決策から順にお試しください。多くの問題はこれで解決します。
解決策1:PCの再起動とSlackの再起動(最も簡単な方法)
多くのWindows関連の問題は、PCを再起動することで解決することがあります。これは、一時的なシステムリソースの問題やネットワークスタックの不具合がリセットされるためです。
- Slack Desktopアプリケーションを完全に終了します。タスクバーの通知領域にあるSlackアイコンを右クリックし、「Slackを終了」を選択するか、タスクマネージャー(
Ctrl+Shift+Esc)でSlackのプロセスを終了します。 - Windowsを再起動します。スタートメニューから「電源」→「再起動」を選択してください。
- PCが起動したら、改めてSlack Desktopを起動し、エラーが解消されたか確認します。
解決策2:DNSキャッシュのクリア
DNS(Domain Name System)は、ウェブサイトのドメイン名(例: slack.com)をIPアドレスに変換するシステムです。このDNSの情報が古かったり破損していると、安全な接続ができないことがあります。WindowsのDNSキャッシュをクリアすることで、最新の情報を再取得させることができます。
以下の手順でPowerShellまたはコマンドプロンプトを実行してください。
- Windowsの検索バーに「
cmd」または「powershell」と入力し、「管理者として実行」を選択します。 - 開いたウィンドウで、以下のコマンドを入力して
Enterキーを押します。
ipconfig /flushdns
コマンドが成功すると、「DNS リゾルバー キャッシュが正常にフラッシュされました。」と表示されます。その後、Slack Desktopを再起動して問題が解決したか確認してください。
解決策3:Slackアプリのキャッシュをクリアする
Slackアプリ内に蓄積されたキャッシュファイルが破損していることも、SSL接続の問題を引き起こすことがあります。PowerShellを使って、Slackアプリのキャッシュファイルを削除することで、問題を解決できる場合があります。
以下の手順でPowerShellを実行してください。
- Slack Desktopアプリケーションを完全に終了します。タスクバーの通知領域にあるSlackアイコンを右クリックし、「Slackを終了」を選択するか、タスクマネージャー(
Ctrl+Shift+Esc)でSlackのプロセスを終了します。 - Windowsの検索バーに「
powershell」と入力し、「管理者として実行」を選択します。 - 開いたPowerShellウィンドウで、以下のコマンドブロックをコピー&ペーストして
Enterキーを押します。
# Slackデスクトップアプリが実行中の場合は終了させます
Get-Process -Name "slack" -ErrorAction SilentlyContinue | Stop-Process -Force
Write-Host "Slackキャッシュのクリアを開始します..."
try {
# AppData内のSlackキャッシュ関連ディレクトリを削除
$slackAppDataCachePath = Join-Path $env:APPDATA "Slack" "Cache"
if (Test-Path $slackAppDataCachePath) {
Remove-Item -LiteralPath $slackAppDataCachePath -Recurse -Force -ErrorAction Stop
Write-Host " - AppData\Slack\Cache を削除しました。"
}
# LocalAppData内のSlackキャッシュ関連ディレクトリを削除
$slackLocalAppDataCachePath = Join-Path $env.LOCALAPPDATA "Slack" "Cache"
if (Test-Path $slackLocalAppDataCachePath) {
Remove-Item -LiteralPath $slackLocalAppDataCachePath -Recurse -Force -ErrorAction Stop
Write-Host " - LocalAppData\Slack\Cache を削除しました。"
}
$slackLocalAppDataCodeCachePath = Join-Path $env.LOCALAPPDATA "Slack" "Code Cache"
if (Test-Path $slackLocalAppDataCodeCachePath) {
Remove-Item -LiteralPath $slackLocalAppDataCodeCachePath -Recurse -Force -ErrorAction Stop
Write-Host " - LocalAppData\Slack\Code Cache を削除しました。"
}
$slackLocalAppDataGPUCachePath = Join-Path $env.LOCALAPPDATA "Slack" "GPUCache"
if (Test-Path $slackLocalAppDataGPUCachePath) {
Remove-Item -LiteralPath $slackLocalAppDataGPUCachePath -Recurse -Force -ErrorAction Stop
Write-Host " - LocalAppData\Slack\GPUCache を削除しました。"
}
Write-Host "Slackキャッシュのクリアが完了しました。Slackを再起動してください。"
} catch {
Write-Host "Slackキャッシュのクリア中にエラーが発生しました: $($_.Exception.Message)"
Write-Host "手動での削除をお勧めします。"
}
コマンドの実行後、再度Slack Desktopを起動し、エラーが解消されているか確認してください。
3. Slack: SSL_ERROR_SYSCALL が発生する主要な原因(複数)
上記【最速】解決策で解決しなかった場合、以下のいずれかが原因である可能性が高いです。
- セキュリティソフトウェアの干渉: アンチウイルスソフトやファイアウォールがSlackのSSL通信を誤ってブロックしている場合があります。特に「SSLインスペクション」や「HTTPSスキャン」機能を持つ製品で発生しやすいです。
- プロキシサーバーまたはVPNの設定: 企業ネットワークなどでプロキシサーバーを経由している場合や、VPNを利用している場合、その設定が正しくない、またはSlackのSSL通信と競合している可能性があります。
- ネットワーク接続の問題: インターネット接続自体が不安定であったり、ルーターやモデムの一時的な不具合が原因であることがあります。
- システムの時刻と日付のずれ: SSL証明書は有効期限を持っており、PCのシステム時刻が大きくずれていると、証明書が不正であると判断され、接続が拒否されることがあります。
- Windowsのルート証明書ストアの問題: 稀ですが、OSのルート証明書ストアに問題があり、SSL証明書の検証ができない場合があります。
- Slackアプリケーションの破損: アプリケーションファイル自体が破損している、または古すぎる可能性があります。
4. Slack Desktopで恒久的に再発を防ぐには
一時的な解決ではなく、今後「SSL_ERROR_SYSCALL」エラーの発生を防ぐために、以下の対策を検討してください。
- セキュリティソフトウェアの除外設定を行う:
- ご利用のアンチウイルスソフトやファイアウォールの設定を開き、Slack Desktopを「信頼済みアプリケーション」や「除外リスト」に追加します。
- 特に、SSL/HTTPSスキャン機能を持つ製品を使用している場合は、Slackの通信をスキャン対象から除外することで問題が解決することがあります。具体的な設定方法は、お使いのセキュリティソフトウェアのマニュアルをご確認ください。
- プロキシ設定の確認と調整:
- 企業ネットワークをご利用の場合は、システム管理者にSlackが利用するプロキシ設定について確認してください。
- Windowsのインターネットオプション(
inetcpl.cplを検索して開く)から「接続」タブ→「LAN の設定」を確認し、プロキシサーバーが正しく設定されているか、または不要なプロキシ設定が有効になっていないか確認します。 - Slackアプリ内にもプロキシ設定がある場合(「環境設定」→「詳細設定」→「プロキシ」)、システムのプロキシ設定と一致させるか、適切な設定になっているか確認してください。
- 一時的にVPNを無効にして、Slackが正常に動作するか確認するのも有効です。
- システム時刻を同期する:
- Windowsの「設定」→「時刻と言語」→「日付と時刻」に進み、「時刻を自動的に設定する」および「タイムゾーンを自動的に設定する」がオンになっていることを確認します。
- 「今すぐ同期」をクリックして、時刻を同期させます。
- Slack Desktopを常に最新の状態に保つ:
- Slackは定期的にアップデートをリリースしています。アプリケーションのバグ修正やセキュリティ強化のために、常に最新バージョンを使用することをおすすめします。
- Slackアプリのメニューから「ヘルプ」→「Slackについて」を選択し、バージョン情報を確認し、必要であればアップデートを実行してください。
- ネットワーク環境の見直し:
- 可能であれば、別のネットワーク(例: スマートフォンのテザリング、別のWi-Fi)に接続して、問題がネットワーク固有のものであるかを確認します。
- ルーターやモデムの再起動も、ネットワーク機器の一時的な不具合を解消するのに役立ちます。
これらの手順を試すことで、Slack: SSL_ERROR_SYSCALL エラーを解決し、快適にSlackをご利用いただけるようになるはずです。もし、すべての手順を試しても解決しない場合は、Slackのサポートチームにお問い合わせいただくことをお勧めします。