Windows Defenderから「Threat Found」という通知が表示され、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。このメッセージは、多くの場合、Windows DefenderがあなたのPCをマルウェアや潜在的な脅威から守るために正常に機能している証拠です。
この記事では、「Threat Found」通知の概要から、多くのケースで最も早く問題を解決する方法、そして今後の再発を防ぐための設定方法まで、Windowsユーザー向けに具体的に解説します。結論から申し上げると、ほとんどの場合、検出されたファイルを信頼できるものとして「除外設定」に追加するか、安全に「隔離」または「削除」することで解決できます。
目次
1. Windows Defender Threat Found とは?(概要と緊急度)
「Windows Defender Threat Found」とは、Microsoft Defender ウイルス対策(旧称 Windows Defender)が、お使いのコンピューター上で潜在的な脅威(マルウェア、ウイルス、PUP: 潜在的に望ましくないプログラムなど)を検出した際に表示される警告メッセージです。
このメッセージが表示されたからといって、すぐにシステムが深刻な危険に晒されているとは限りません。多くの場合、Windows Defenderは検出した脅威を自動的に「隔離」しており、それ以上悪影響が及ばないように保護措置を取っています。緊急度は、検出されたアイテムの種類や、それが本当に悪意のあるものか、あるいは「誤検知」であるかによって異なります。
- 実際の脅威: 悪意のあるソフトウェアが検出された場合。Windows Defenderが適切に処理していることがほとんどです。
- 誤検知(False Positive): 正当なプログラムやファイルが、その動作やファイル署名がマルウェアと類似しているために誤って検出されたケース。この場合、ファイルは安全であり、除外設定が必要になります。
いずれの場合も、まずは落ち着いてWindows Defenderの通知を確認し、適切な対処を行うことが重要です。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
「Threat Found」が表示されたら、まずWindows Defenderの「保護の履歴」を確認し、検出されたアイテムに対するアクションを決定しましょう。多くの場合、これによりすぐに問題が解決します。
解決策1:検出された脅威の確認と対応(GUI操作)
最も簡単で確実な方法は、Windowsセキュリティアプリを通じて検出された脅威の詳細を確認し、対応することです。
- まずはWindowsセキュリティを開きます。
start defender:または、Windowsの検索バーに「Windowsセキュリティ」と入力して開くこともできます。
- Windowsセキュリティの左側のメニューから「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
- 「ウイルスと脅威の防止」セクションにある「保護の履歴」をクリックします。
- ここに検出された脅威の一覧が表示されます。最新の「Threat Found」通知に対応する項目を探し、クリックして詳細を展開します。
- 脅威の種類や検出されたファイルパスなどの情報を確認し、以下のいずれかのアクションを選択します。
- 削除: 疑わしい、または不要な脅威であることが明らかな場合。Windows Defenderがファイルを完全に削除します。
- 隔離: Windows Defenderがすでに実行している標準的なアクションです。ファイルは安全な場所に隔離され、システムへの影響を遮断します。しばらく様子を見たい場合や、判断に迷う場合に適しています。
- デバイスで許可: 誤検知であると確信できる、信頼できるファイルの場合に選択します。このアクションを実行すると、そのファイルは今後のスキャンで検出されなくなります。ただし、本当に安全なファイルであることを十分に確認してから実行してください。
- 復元: 以前隔離されたファイルを元の場所に戻す場合。通常は「デバイスで許可」と合わせて行い、復元後に除外設定を追加することが推奨されます。
- 「デバイスで許可」または「復元」を選択した場合、次のセクションで解説する「除外設定の追加」を合わせて行うことを強く推奨します。これにより、今後のスキャンで同じファイルが再び検出されるのを防ぐことができます。
もし誤検知でなかったり、対処方法に迷ったりする場合は、一旦「隔離」のままにしておき、そのファイルの情報をインターネットで検索して評判を確認することをおすすめします。
3. Windows Defender Threat Found が発生する主要な原因(複数)
「Threat Found」の通知が表示される原因はいくつか考えられます。それらを理解することで、今後の対策を立てやすくなります。
- 実際のマルウェア感染: 最も基本的な原因です。悪意のあるプログラム(ウイルス、トロイの木馬、ランサムウェアなど)がPCに侵入し、Windows Defenderがそれを検出したケースです。
- 誤検知(False Positive): 正規のソフトウェアや、クラックツール、ゲームのModなどが、その挙動やファイル構造がマルウェアと類似しているために、誤って脅威として認識されることがあります。特に、セキュリティソフトの誤検知は珍しくありません。
- 潜在的に望ましくないプログラム(PUP/PUA): アドウェア、ツールバー、システム最適化ソフトなど、必ずしも悪意があるわけではないものの、ユーザーの意図に反してインストールされたり、PCのパフォーマンスに影響を与えたりするプログラムです。
- 古い、または脆弱性を持つソフトウェア: 使用しているソフトウェアに既知の脆弱性があり、それを悪用する可能性のあるコードが検出された場合。
- 開発中のスクリプトやプログラム: プログラミングやスクリプトを作成している際に、Windows Defenderがそのコードを潜在的な脅威と誤認することがあります。
4. Windows Defenderで恒久的に再発を防ぐには
信頼できるファイルやフォルダーが誤検知される場合、または開発作業で特定のファイルやフォルダーが常にスキャン対象から除外されるべきである場合は、「除外設定」を追加することで再発を防ぐことができます。これは、Windows Defenderに特定のアイテムはスキャンしないように指示する設定です。
除外設定を追加する方法(GUIおよびPowerShell)
GUIでの手順
- Windowsセキュリティを開きます。
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
- 「ウイルスと脅威の防止の設定」の下にある「設定の管理」をクリックします。
- 「除外」セクションまでスクロールし、「除外の追加または削除」をクリックします。
- 「+除外の追加」をクリックし、除外したいアイテムの種類(ファイル、フォルダー、ファイルの種類、プロセス)を選択します。
- ファイル: 特定の実行ファイル(例:
C:\Program Files\MySoft\app.exe) - フォルダー: 特定のフォルダーとその中の全てのファイル(例:
C:\MyProject\) - ファイルの種類: 特定の拡張子を持つ全てのファイル(例:
.iso、.tmp) - プロセス: 実行中の特定のプロセス(プロセス名で指定)
- ファイル: 特定の実行ファイル(例:
- 指示に従って、除外したいファイルパス、フォルダーパス、またはファイルの種類を入力し、追加します。
注意: 除外設定は、信頼できると確信できるファイルやフォルダーにのみ適用してください。悪意のあるファイルを誤って除外してしまうと、システムが危険に晒される可能性があります。
PowerShellでの手順
より技術的なユーザー向けに、PowerShellを使って除外設定を追加することも可能です。管理者権限でPowerShellを開いて実行してください。
# 特定のファイルを除外する例
# "C:\Path\To\MyApplication.exe" の部分を、除外したいファイルのフルパスに置き換えてください。
Add-MpPreference -ExclusionPath "C:\Path\To\MyApplication.exe"
# 特定のフォルダーを除外する例
# "C:\Path\To\MyProjectFolder\" の部分を、除外したいフォルダーのフルパスに置き換えてください。
# フォルダーパスの最後にバックスラッシュ(\)を付けるのを忘れないでください。
Add-MpPreference -ExclusionPath "C:\Path\To\MyProjectFolder\"
# 複数のファイルやフォルダーを一度に追加する例
# -ExclusionPath の後に、カンマ区切りで複数のパスを指定できます。
Add-MpPreference -ExclusionPath "C:\Path\To\File1.exe", "C:\Path\To\Folder2\", "D:\AnotherFile.dll"
# 特定のファイルの種類(拡張子)を除外する例
# 例えば、.isoファイルと.tmpファイルを検出しないようにする場合
Add-MpPreference -ExclusionExtension ".iso", ".tmp"
# 既存の除外設定を確認するコマンド
Get-MpPreference | Select-Object ExclusionPath, ExclusionExtension, ExclusionProcess
これらのコマンドは、既存の除外設定に新しい項目を追加します。
その他の再発防止策
- Windows DefenderとOSを常に最新の状態に保つ: Windows Updateを定期的に実行し、OSとセキュリティ定義ファイルを最新の状態に保つことで、既知の脅威から保護されます。
- 定期的なフルスキャン: 週に一度など、定期的にWindows Defenderでフルスキャンを実行することをお勧めします。
- 不審なウェブサイトやダウンロードには注意: 不明なソースからのファイルのダウンロードや、怪しいウェブサイトの閲覧は避けてください。
- ソフトウェアは信頼できるソースからのみ: 公式サイトや信頼できるアプリストアからのみソフトウェアをインストールするように心がけましょう。
- 不要なソフトウェアのアンインストール: 使用しないプログラムはアンインストールすることで、潜在的な脅威のリスクを減らすことができます。
これらの対策を行うことで、「Windows Defender Threat Found」の通知に適切に対応し、あなたのPCをより安全に保つことができるでしょう。もし不明な点があれば、検出された脅威の名前やファイルパスを調べて、その信頼性を確認してください。