OBS Studioで「Encoding overloaded!」というメッセージが表示され、配信や録画がカクカクしたり、停止したりしてお困りではありませんか?ご安心ください。これはOBS Studioユーザーによくある一般的な問題であり、ほとんどの場合は簡単な設定変更で解決できます。このガイドでは、Windowsユーザー向けに、今すぐ試せる最速の解決策から、恒久的な再発防止策まで、分かりやすく解説します。
目次
1. OBS: Encoding overloaded とは?(概要と緊急度)
「Encoding overloaded!」というエラーメッセージは、OBS Studioが映像をエンコード(符号化)する際に、コンピューターのCPUやGPUがその処理能力の限界を超えてしまっている状態を示します。簡単に言えば、PCが処理しきれないほどの重い設定で配信や録画を行おうとしているということです。
このエラーが発生すると、以下のような問題が起こります。
- 配信や録画中の映像がカクカクする、コマ落ちする
- 音声が途切れる
- 配信が途中で切断される
- 録画ファイルが破損する
このエラーは配信や録画の品質に直接影響するため、緊急度の高い問題と言えますが、ご心配なく。以下に示す手順に従えば、すぐに改善できる可能性が高いです。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
まずは、最も簡単で即効性のある解決策から試してみましょう。多くの場合、これだけで問題が解決することがあります。
解決策1:OBS Studioのプレビューを無効にする
OBS Studioのプレビュー画面は、実際の映像をリアルタイムで表示するため、意外とCPUやGPUのリソースを消費します。このプレビューを一時的に無効にすることで、エンコードに必要なリソースを確保し、負荷を軽減できます。
### 手順: OBS Studioのプレビューを無効にする
1. OBS Studioを起動します。
2. メイン画面の下部にある「コントロール」ドックを探します。
3. 「スタジオモード」ボタンの右隣にある「プレビューを有効にする」のチェックを外すか、右クリックメニューから「プレビューを無効にする」を選択します。
(OBS Studioのバージョンやレイアウトによっては、直接「プレビューを無効にする」というボタンが表示されている場合もあります。)
4. これでプレビュー画面が真っ暗になりますが、配信や録画は通常通り行われます。
問題が解決したか、再度配信・録画を試してみてください。
プレビューを無効にしても状況が改善しない場合は、次のセクションで紹介する恒久的な対策に進んでください。
3. OBS: Encoding overloaded が発生する主要な原因(複数)
「Encoding overloaded!」エラーは、主に以下のいずれか、または複数の原因が重なることで発生します。
- 高すぎる出力解像度: 配信や録画の解像度が高すぎると、エンコーダーへの負荷が大幅に増加します。例えば、フルHD (1920×1080) や4K (3840×2160) は多くのリソースを必要とします。
- 高すぎるフレームレート (FPS): 60 FPSなどの高いフレームレートは滑らかな映像を提供しますが、エンコード処理が秒間により多くのフレームを処理する必要があるため、負荷が高くなります。
- 複雑すぎるシーン: OBS Studioのシーン内に、多くの画像ソース、ブラウザソース、動画ソース、複数のWebカメラ、複雑なフィルター(例:ノイズ抑制、カラーコレクションなど)が大量に存在すると、その全てを合成してエンコードするため、負荷が急増します。
- エンコーダ設定が重すぎる: OBS Studioの出力設定で、エンコーダのプリセットを「高画質」「高品質」などに設定している場合、その分処理に時間がかかり、負荷が高まります。特にCPUエンコーダー (x264) を使用している場合、非常に高負荷になりがちです。
- 他のアプリケーションとの競合: バックグラウンドで動作している他の重いアプリケーション(例:最新のゲーム、Webブラウザの多数のタブ、動画編集ソフト、仮想マシンなど)がCPUやGPUのリソースを消費している場合、OBS Studioに十分なリソースが割り当てられず、エンコードがオーバーロードする原因となります。
- 古い、またはスペック不足のハードウェア: ご使用のCPUやGPUが、設定している配信・録画の要求スペックを満たしていない場合も、エンコードのオーバーロードが発生しやすくなります。
- グラフィックドライバーが古い: グラフィックドライバーが最新でないと、GPUのパフォーマンスが十分に発揮されず、エンコード効率が低下することがあります。
4. OBS Studioで恒久的に再発を防ぐには
一時的な解決策で改善しない場合、または今後エラーの再発を防ぎたい場合は、以下の設定を調整してOBS Studioの負荷を軽減しましょう。
4.1. OBS Studioの映像設定を調整する
これらの設定は、エンコード負荷に最も大きな影響を与えます。
- OBS Studioの「設定」を開き、「映像」タブを選択します。
- 出力(スケーリング)解像度を下げる:
- 「出力(スケーリング)解像度」を、現在の設定よりも一段階低いもの(例:1920×1080 → 1280×720)に変更します。多くの配信サイトでは720pでも十分に高画質です。
- 共通FPS値を下げる:
- 「共通FPS値」を「60」から「30」に変更します。特に動きの少ないコンテンツや、ゲーム配信以外では30 FPSでも十分な場合があります。
4.2. OBS Studioの出力設定を調整する
エンコーダーの種類やそのプリセットによって、負荷は大きく変動します。
- OBS Studioの「設定」を開き、「出力」タブを選択します。
- 「出力モード」が「詳細」になっていることを確認し、「配信」または「録画」タブを選択します。
- エンコーダを変更・調整する:
- ハードウェアエンコーダー(推奨): NVIDIA製のGPUを搭載していれば「NVIDIA NVENC (New)」、AMD製のGPUを搭載していれば「AMD H.264/HEVC」など、ハードウェアエンコーダーの使用を強く推奨します。これらはCPUの負荷を大幅に軽減します。
# NVIDIA NVENC (New) の例 # 設定 > 出力 > 配信/録画タブ # エンコーダ: NVIDIA NVENC (New) # レート制御: CBR (推奨) # ビットレート: 2500-6000 Kbps (解像度やFPSによる) # キーフレーム間隔: 2 # プリセット: P5 Fastest または P6 Fast (負荷が高い場合は P4 Medium などよりパフォーマンス重視のものを試す) # プロファイル: high - ソフトウェアエンコーダー(x264)の場合: CPUの性能に大きく依存します。
- 「CPU使用のプリセット」を「veryfast」や「superfast」など、より高速な(=低負荷な)設定に変更します。
- 「ultrafast」に近づくほど画質は低下しますが、負荷は軽減されます。
- ハードウェアエンコーダー(推奨): NVIDIA製のGPUを搭載していれば「NVIDIA NVENC (New)」、AMD製のGPUを搭載していれば「AMD H.264/HEVC」など、ハードウェアエンコーダーの使用を強く推奨します。これらはCPUの負荷を大幅に軽減します。
- ビットレートを調整する:
- 設定した解像度とFPSに見合った適切なビットレートを設定します。高すぎるビットレートはエンコーダーに余計な負荷をかけます。配信プラットフォームの推奨値を参考にしましょう。
- 例: 1280×720 @ 30fps なら 2500-3500 Kbps 程度。
4.3. Windowsの設定を最適化する
OBS Studio以外のシステム設定も見直しましょう。
- ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリングを有効にする:
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- Windows 10/11の新しい機能で、GPUの効率を向上させる可能性があります。
### 手順: ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリングの有効化 1. Windowsの「設定」を開きます。(Win + I キー) 2. 「システム」>「ディスプレイ」を選択します。 3. 関連設定の「グラフィック」をクリックします。 4. 「既定のグラフィック設定」または「グラフィックの既定の設定を変更する」をクリックします。 5. 「ハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリング」のトグルを「オン」にします。 6. PCを再起動します。 -
- ゲームモードを有効にする:
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- ゲームモードは、ゲームやOBS Studioなどのアプリケーションにシステムリソースを優先的に割り当てるようにWindowsを最適化します。
### 手順: ゲームモードの有効化 1. Windowsの「設定」を開きます。(Win + I キー) 2. 「ゲーム」>「ゲームモード」を選択します。 3. 「ゲームモード」のトグルを「オン」にします。 -
- グラフィックドライバーを最新にする:
- NVIDIA、AMD、Intelの公式ウェブサイトから、ご使用のグラフィックカードに合わせた最新のドライバーをダウンロードしてインストールしてください。最新のドライバーは、パフォーマンスの向上やバグ修正が含まれていることがあります。
- 不要なバックグラウンドアプリケーションを終了する:
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- 配信・録画中は、Webブラウザのタブを閉じる、動画編集ソフトや他のゲームを終了するなど、OBS Studioが使用するリソースを最大化するために、他のアプリケーションをできるだけ終了させましょう。
### コマンド例: 特定のプロセスを終了させる (自己責任で実行してください) # Chromeブラウザを終了させる例 Stop-Process -Name "chrome" -Force # Discordアプリを終了させる例 Stop-Process -Name "Discord" -Force # 現在実行中のプロセスを確認する Get-Process | Sort-Object CPU -Descending | Select-Object -First 10 Name, CPU, WorkingSet # 注意: システムの安定性に関わる重要なプロセスは終了させないでください。 # 通常はタスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)で確認し、不要なものを選択して「タスクの終了」をクリックする方が安全です。 -
これらの対策を一つずつ試しながら、OBS Studioで再度配信や録画を行い、問題が解決するかどうかを確認してください。多くのユーザーがこれらの設定調整によって「Encoding overloaded!」の問題を克服しています。快適な配信・録画ライフをお楽しみください!