「Word could not open the file because it is corrupt」というエラーメッセージが表示され、大切なWordファイルが開けずにお困りですね。ご安心ください。この問題はよくあることであり、ほとんどの場合、適切な手順を踏むことでファイルを回復または開くことができます。この記事では、このエラーの原因を解説し、特にWindowsユーザーの方々がすぐに試せる、最も効果的な解決策を具体的かつ分かりやすくご紹介します。
目次
1. Word could not open the file because it is corrupt とは?(概要と緊急度)
このエラーメッセージは、Microsoft Wordがファイルを開こうとした際に、そのファイルの内容に何らかの不整合や破損が見つかったことを意味します。簡単に言えば、「ファイルの中身が壊れていて、Wordが正しく読み取れない」という状態です。文書作成中にPCがクラッシュしたり、ファイルを保存中に電源が落ちたり、USBメモリを安全に取り外さなかったりするなど、さまざまな原因で発生します。
緊急度は「中~高」です。すぐに作業を継続できないという点では緊急度が高いですが、ファイルが完全に失われたわけではない可能性も高く、落ち着いて対処すればデータを復旧できるチャンスは大いにあります。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
まずは、最も効果的でWordに標準搭載されている「開いて修復」機能から試しましょう。それでも開かない場合は、ファイルのコピーを作成するなどの方法を試します。
解決策1:Wordの「開いて修復」機能を使用する
Microsoft Wordには、破損したファイルを検出した際に自動的に修復を試みる機能が組み込まれています。この機能を明示的に指定して開いてみましょう。
- Wordを開きます(ファイルが開いている場合はすべて閉じます)。
- 「ファイル」タブをクリックし、「開く」を選択します。
- 「参照」をクリックし、開きたい破損したWordファイルがある場所へ移動します。
- 破損したファイルを選択しますが、すぐに「開く」ボタンをクリックしないでください。
- 「開く」ボタンの右側にある下向きの矢印をクリックします。
- 表示されるメニューから「開いて修復」を選択します。
Wordがファイルの内容を分析し、可能な限り修復を試みます。修復が成功した場合は、ファイルがWordで開かれ、内容を確認できるようになります。開かれたら、すぐに別の名前で新しいファイルとして保存することをお勧めします。
解決策2:ファイルのコピーを作成して開いてみる
元のファイルを直接操作する前に、念のためそのファイルのコピーを作成し、コピーしたファイルで開いてみることも有効です。これにより、元のファイルの破損を悪化させるリスクを回避し、ファイルシステムの軽い問題であれば解決することがあります。
以下のPowerShellコマンドを使用して、簡単にファイルのコピーを作成できます。
# 元のファイルパスとコピー先のファイルパスを設定します
# 実際のファイルパスに合わせて変更してください
$sourcePath = "C:\Users\あなたのユーザー名\Documents\破損したファイル名.docx"
$destinationPath = "C:\Users\あなたのユーザー名\Documents\破損したファイル名_コピー.docx"
# ファイルをコピーします
Copy-Item -Path $sourcePath -Destination $destinationPath -Force
Write-Host "ファイルが '$destinationPath' にコピーされました。このコピーファイルで開いてみてください。"
上記のコマンドを実行後、生成されたコピーファイル(例: 破損したファイル名_コピー.docx)をWordで開いてみてください。
解決策3:別のバージョンのWordで開いてみる
もし可能であれば、別のPCにインストールされているWord(特に異なるバージョン、例えばWord 2016とWord 365など)でファイルを開いてみてください。互換性の問題や、特定のWord環境の不具合が原因である場合、別の環境では問題なく開けることがあります。
3. Word could not open the file because it is corrupt が発生する主要な原因(複数)
このエラーが発生する背景には、いくつかの一般的な原因が考えられます。原因を知ることで、今後の再発防止にもつながります。
- Wordの予期せぬ終了/クラッシュ: 文書を保存中にWordがフリーズしたり、強制終了したりすると、ファイルが不完全に書き込まれ、破損する可能性があります。
- システムのクラッシュ/停電: PCが突然シャットダウンしたり、電源が切れたりすると、開いているWordファイルが破損するリスクが高まります。
- ストレージメディアの不良セクタ: ファイルが保存されているハードディスクやSSDに物理的な問題(不良セクタ)がある場合、ファイルの一部が読み取れなくなり、破損します。
- ネットワーク経由での保存時の問題: 共有フォルダやクラウドストレージに保存する際、ネットワーク接続が不安定だと、ファイル転送中に破損することがあります。
- USBドライブの安全な取り外しをしない: USBメモリや外付けHDDを「ハードウェアの安全な取り外し」を行わずにPCから抜くと、書き込み中のファイルが破損することがあります。
- マルウェア/ウイルス感染: ウイルスやマルウェアがファイルシステムやWordファイル自体を改ざんし、破損させる場合があります。
- Wordファイルのバージョン間の互換性問題: 古いバージョンのWordで作成されたファイルを新しいバージョンで開いたり、その逆を行ったりする際に、まれに互換性の問題が発生し、開けなくなることがあります。
4. Microsoft Wordで恒久的に再発を防ぐには
大切な文書が二度と開けなくなることのないよう、日頃から以下の予防策を講じることをお勧めします。
4.1. 定期的なバックアップと自動保存機能の活用
- Wordの自動回復機能: Wordには、クラッシュ時などに備えて一時的にファイルを保存する自動回復機能があります。「ファイル」 > 「オプション」 > 「保存」で、自動回復用ファイルの保存間隔を短く設定(例: 5分ごと)し、「保存しないで終了する場合、最後に自動回復されたバージョンを残す」にチェックを入れることをお勧めします。
- クラウドストレージの利用: OneDriveやGoogle Driveなどのクラウドストレージにファイルを保存すれば、自動的にファイルのバージョン履歴が保存され、問題が発生した際に以前のバージョンに戻すことが可能です。
- 定期的な手動バックアップ: 重要なファイルは、定期的に別のドライブ(外付けHDDやUSBメモリ)にコピーしておきましょう。
4.2. OfficeアプリケーションとWindowsの定期的な更新
Microsoft OfficeとWindowsオペレーティングシステムを常に最新の状態に保つことで、既知のバグやセキュリティの脆弱性が修正され、ファイルの破損リスクを低減できます。
4.3. PCのメンテナンスとファイルシステムの健全性チェック
PCの健全性を保つことも、ファイル破損の予防につながります。
- ディスクチェック: ハードディスクのエラーをチェックし、修復します。
- システムファイルチェッカー: Windowsのシステムファイルの破損をチェックし、修復します。
- ウイルス対策: 常に最新のウイルス対策ソフトを導入し、定期的にスキャンを実行します。
以下のコマンドを管理者権限のPowerShellで実行して、システムファイルの健全性をチェックできます。
# システムファイルチェッカーを実行し、破損したシステムファイルを修復します
# これにより、OS起因のファイル破損リスクを低減できます。
# 管理者権限でPowerShellまたはコマンドプロンプトを開いて実行してください。
Start-Process powershell -Verb RunAs -ArgumentList "sfc /scannow; pause"
このコマンドは、PowerShellを管理者として起動し、sfc /scannowを実行してシステムファイルの整合性を確認・修復します。処理が完了するまで時間がかかる場合があります。
4.4. 信頼できる場所の設定(Wordのオプション)
Wordは、インターネットからダウンロードされたファイルや、安全でない場所にあるファイルを保護するために、編集を制限することがあります。意図しない「開けない」状況を避けるために、頻繁に利用する信頼できるフォルダをWordに設定しておくことができます。
- Wordを開き、「ファイル」タブをクリックします。
- 左側のメニューから「オプション」を選択します。
- 「Wordのオプション」ダイアログボックスで、左側の「トラストセンター」を選択し、右側の「トラストセンターの設定」をクリックします。
- 「トラストセンター」ダイアログボックスで、左側の「信頼できる場所」を選択します。
- 「新しい場所の追加」をクリックし、頻繁にWordファイルを保存する安全なフォルダのパスを追加します。
- 追加後、「この場所のサブフォルダーも信頼する」にチェックを入れると、そのフォルダ内のサブフォルダも信頼されます。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
これらの対策を講じることで、「Word could not open the file because it is corrupt」エラーに遭遇するリスクを大幅に減らし、安心してWord作業に取り組むことができるでしょう。