【解決】 Redis: OOM command not allowed の解決方法と原因 | Redis トラブルシューティング

Redis: OOM command not allowed の概要と最も速い解決策 | Redis トラブルシューティング

Redisをご利用中に「OOM command not allowed」というエラーに直面し、お困りのことと思います。ご安心ください。このエラーはRedisでメモリが上限に達した際によく発生するもので、適切な手順を踏めば解決可能です。この記事では、Windowsユーザー向けに、このエラーの概要から今すぐ試せる解決策、そして恒久的な再発防止策までを、SEOに強く、ロジカルに解説します。

1. Redis: OOM command not allowed とは?(概要と緊急度)

OOM command not allowed」は、「Out Of Memory (メモリ不足) のため、コマンドが許可されません」という意味のエラーメッセージです。これは、Redisインスタンスが事前に設定されたメモリ使用量の上限(maxmemory)に達したことを示しています。

  • 何が起きているか? Redisは、新しいデータを書き込むタイプのコマンド(例: SET, LPUSH, HSETなど)の実行を拒否しています。
  • 読み取りは可能か? 既存のデータを読み取るコマンド(例: GET, LRANGE, HGETALLなど)は通常、引き続き動作します。
  • 緊急度: 高 新しいデータの書き込みができないため、アプリケーションの機能が停止したり、重要なデータが保存されなかったりする可能性があります。早急な対応が必要です。

このエラーは、Redisがシステム全体の安定性を保つために、これ以上のメモリ消費を防ごうとしている状態です。

2. 【最速】今すぐ試すべき解決策

まずは、現在発生しているエラーを一時的に解消し、アプリケーションの動作を回復させるための最も速い解決策をご紹介します。これはあくまで応急処置であり、後述する恒久的な対策も必ず実施してください。

解決策1:[最も簡単な方法] Redisのメモリ上限(maxmemory)を一時的に引き上げる

最も手軽で即効性があるのは、Redisに割り当てられたメモリ上限(maxmemory)を一時的に引き上げることです。これにより、Redisはさらにメモリを使用できるようになり、書き込みコマンドが再び受け入れられるようになります。

注意点: この方法は、物理的なシステムメモリに余裕がある場合にのみ実行してください。システムの物理メモリを超えてmaxmemoryを設定すると、システム全体のパフォーマンス低下やクラッシュを引き起こす可能性があります。

手順:

  1. 現在のメモリ使用状況を確認する

    Redis CLIに接続し、現在のmaxmemory設定とメモリ使用量を確認します。PowerShellまたはCmdから以下のコマンドを実行します。

    redis-cli.exe
    CONFIG GET maxmemory
    INFO memory
    

    INFO memoryコマンドの出力で、used_memory_humanmaxmemoryの値を確認し、現在のメモリ状況を把握します。

  2. maxmemoryを一時的に引き上げる

    現在のmaxmemory設定よりも大きな値に引き上げます。例えば、現在の設定が1GBで、物理メモリに余裕がある場合、2GBに引き上げることを検討します。以下のコマンドを実行してください。

    CONFIG SET maxmemory 2gb
    

    2gbの部分は、お使いの環境と物理メモリの空き状況に合わせて調整してください。設定が成功すると、OKと表示されます。

    補足: この設定はRedisを再起動すると失われます。恒久的な変更については、後述の「恒久的に再発を防ぐには」のセクションを参照してください。

  3. エラーが解消されたか確認する

    アプリケーション側でRedisへの書き込み操作を試行し、エラーが解消されたか確認してください。

3. Redis: OOM command not allowed が発生する主要な原因(複数)

一時的な解決策でエラーが解消されたとしても、根本原因を理解し対処しなければ、再びこのエラーに直面することになります。主な原因は以下の通りです。

  • maxmemory設定が低すぎる: Redisに割り当てられているメモリ上限が、実際のデータ量やアクセスパターンに対して不十分な場合に発生します。
  • データセットの予期せぬ増大: アプリケーションの利用者が増えたり、新しい機能が追加されたりすることで、Redisに保存されるデータ量が予想以上に増加した場合。
  • キーの有効期限(TTL)設定の不備: 一部のキーにTTLが設定されていない、または長すぎるTTLが設定されているため、不要なデータがメモリに残り続けている場合。
  • 不適切なEviction Policy(退去ポリシー): Redisがメモリ上限に達した際に、どのデータを削除してメモリを解放するかを決定するmaxmemory-policynoeviction(削除しない)に設定されている、またはアプリケーションの要件に合っていないポリシーが設定されている場合。
  • アプリケーションからの過剰な書き込み: 短期間に大量のデータがRedisに書き込まれている場合。
  • メモリリークや最適化されていないデータ構造: アプリケーションコードにメモリリークがあったり、Redisのデータ構造が非効率的に使用されていたりする場合(例: 巨大なリストやハッシュを不必要に使う)。
  • Redis以外のプロセスによるメモリ消費: 同じサーバー上でRedis以外のプロセスが大量のメモリを消費している場合、Redisが利用できる物理メモリが圧迫されます。

4. Redisで恒久的に再発を防ぐには

OOM command not allowed」エラーの再発を確実に防ぐためには、以下の対策を総合的に検討し、実施することが重要です。

4.1. Eviction Policy(退去ポリシー)の見直しと設定

これが最も根本的かつ重要な対策の一つです。maxmemoryに達した際に、Redisが自動的にデータを削除してメモリを解放するためのルールを設定します。

現在の設定を確認:

redis-cli.exe
CONFIG GET maxmemory-policy

redis.confの編集:
Redisの構成ファイル(通常はredis.conf)を編集して、恒久的に設定を変更します。Windows環境では、Redisのインストールディレクトリ内にあります。

テキストエディタでredis.confを開き、maxmemory-policyの行を探して、以下のように変更または追加します。その後、Redisサービスを再起動してください。

# 以下の行を見つけるか、追加/修正します。
# maxmemory-policy noeviction
maxmemory-policy allkeys-lru

主なEviction Policyの種類:

  • noeviction: メモリ上限に達してもデータを削除せず、書き込みコマンドをエラーで拒否します(デフォルト設定でこのエラーの原因となりやすい)。
  • allkeys-lru: 最近最も使われていないキー(Least Recently Used)を、キーの種類を問わず削除します。最も一般的で推奨されるポリシーの一つです。
  • volatile-lru: TTLが設定されているキーの中から、最近最も使われていないキーを削除します。
  • allkeys-random: キーの種類を問わず、ランダムにキーを削除します。
  • volatile-random: TTLが設定されているキーの中から、ランダムにキーを削除します。
  • allkeys-lfu / volatile-lfu: 最近最も使われていない頻度が低いキー(Least Frequently Used)を削除します (Redis 4.0以降)。

アプリケーションのデータ特性に合わせて最適なポリシーを選択してください。一般的にはallkeys-lruが広く利用されます。

4.2. maxmemoryの適切な設定

物理メモリの80%程度を目安に、Redisに割り当てるメモリ上限を決定します。Redisをホストしているサーバーに他に重要なプロセスがない場合でも、OSが利用するメモリを考慮し、全体として余裕を持たせるのが賢明です。

redis.confを編集して、maxmemoryの値を恒久的に設定します。

# 以下の行を見つけるか、追加/修正します。
# maxmemory <bytes>
maxmemory 2gb

上記例では2GBを設定していますが、ご自身の環境に合わせて調整してください。単位はgb, mb, kbが使用できます。

4.3. データ構造の最適化とTTLの活用

  • 効率的なデータ構造の利用: Redisのデータ型(String, List, Hash, Set, Sorted Set)を適切に選択し、メモリ効率の良いデータ構造を検討します。例えば、小さなHashやListは、単一のキーとして保存するよりもメモリ効率が良い場合があります。
  • TTL(有効期限)の積極的な活用: 一時的なデータやキャッシュデータには、必ず適切なTTLを設定しましょう。これにより、不要になったデータが自動的に削除され、メモリが解放されます。
  • 不要なデータの削除: アプリケーション側で、もう必要のないデータは積極的にDELコマンドなどで削除するロジックを実装します。

4.4. Redisインスタンスのスケールアップ/アウト

  • スケールアップ: サーバーの物理メモリを増強し、Redisに割り当てられるmaxmemoryの上限を増やします。
  • スケールアウト: 複数のRedisインスタンスにデータを分散する(Redis Clusterなど)ことで、個々のインスタンスのメモリ負荷を軽減します。

4.5. モニタリングの強化

Redisのメモリ使用量を継続的に監視し、設定された閾値を超えた場合にアラートを発するシステムを導入します。これにより、メモリが上限に達する前に兆候を検知し、事前に対策を講じることが可能になります。

  • INFO memoryコマンドの出力を定期的に収集する。
  • Prometheus, Grafanaなどの監視ツールを活用する。

これらの対策を講じることで、「OOM command not allowed」エラーの発生を大幅に減らし、安定したRedis運用が可能になります。まずは応急処置でサービスを復旧させ、その後、じっくりと根本的な原因と対策に取り組んでください。