Plex Media Serverを利用中に「Plex: Server not available」というメッセージが表示され、コンテンツにアクセスできなくなると、不安になることでしょう。
しかし、ご安心ください。このエラーはPlexサーバーが一時的に停止しているか、ネットワーク経由でアクセスできない状態であることを示しており、多くの場合、比較的簡単な手順で解決できます。
この記事では、Windowsユーザー向けに、この問題を迅速かつ確実に解決するための具体的な手順を解説します。
目次
1. Plex: Server not available とは?(概要と緊急度)
「Plex: Server not available」とは、文字通りPlex Media Serverが現在利用できない状態にあることを意味します。
具体的には、以下のいずれかの状況で発生します。
- Plex Media Serverが起動していない: サーバーをホストしているPCでPlexアプリケーションが終了しているか、クラッシュしている。
- ネットワーク接続の問題: サーバーPC自体がネットワークに接続されていない、またはクライアントデバイスからサーバーPCへのネットワーク経路が遮断されている(例: ルーターの不具合、Wi-Fiの切断)。
- ファイアウォールによるブロック: Windowsファイアウォールやセキュリティソフトウェアが、Plex Media Serverの通信をブロックしている。
このエラーの緊急度は、Plexを利用したいユーザーにとっては「高」ですが、データが失われることはほとんどありません。
ほとんどの場合、PlexアプリケーションまたはPCの再起動、あるいは簡単な設定変更で解決可能です。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
まず、最も簡単で多くの場合に効果的な解決策を試してみましょう。
これは、Plex Media Serverアプリケーション自体を再起動する方法です。
解決策1:Plex Media Serverの再起動
Plex Media Serverが一時的にフリーズしたり、起動に失敗したりすることがあります。
Plexサービスを再起動することで、問題が解決することが非常に多いです。
A. システムトレイからの再起動(推奨)
- Windowsのタスクバー右下にあるシステムトレイアイコン(▲をクリックすると表示されることが多いです)の中から、Plexのアイコン(オレンジ色のP)を見つけます。
- Plexアイコンを右クリックし、「Plex Media Serverを終了」を選択します。
- 数秒待ってから、Windowsのスタートメニューから「Plex Media Server」を検索して起動します。
- Plex Web Appを再度開き、サーバーにアクセスできるか確認してください。
B. PowerShellコマンドによるサービス再起動(より確実な方法)
システムトレイにアイコンがない場合や、より確実にサービスを再起動したい場合は、PowerShellからPlex Media Serverサービスを直接再起動できます。
# 管理者権限でPowerShellを起動してください(スタートメニュー検索でPowerShellを右クリックし「管理者として実行」)
# 1. Plex Media Server サービスの状態を確認(オプション)
# これにより、サービスが現在実行中か停止中かを確認できます。
Get-Service -DisplayName "Plex Media Server"
# 2. Plex Media Server サービスを再起動
# 「-Force」オプションを付けることで、確認なしで強制的に再起動します。
Restart-Service -DisplayName "Plex Media Server" -Force
# 3. 数秒待ってから、再度サービスの状態を確認(オプション)
# サービスが正常に「Running」になったことを確認できます。
Start-Sleep -Seconds 5
Get-Service -DisplayName "Plex Media Server"
コマンド実行後、WebブラウザでPlex Web App (http://localhost:32400/web) にアクセスして、サーバーが利用可能になっているか確認してください。
3. Plex: Server not available が発生する主要な原因(複数)
上記の方法で解決しない場合、Plex Server not availableエラーは以下のいずれかの原因で発生している可能性が高いです。
- Plex Media Serverが実際に停止している:最も一般的な原因です。何らかの理由でPlexアプリケーションがクラッシュした、またはWindowsの更新などでPCが再起動した際にPlexが自動起動しなかった、というケースです。解決策1を試すことで解決するはずです。
- Windowsファイアウォールによる通信のブロック:Windows Defender ファイアウォールや、インストールされているセキュリティソフトウェア(ウイルス対策ソフトなど)がPlex Media Serverのネットワーク通信をブロックしていることがあります。特に、Windows Update後や新しいセキュリティソフトを導入した後に発生しやすいです。
- サーバーPCのネットワーク接続の問題:Plex Media ServerをホストしているPCがインターネットまたはローカルネットワークに正しく接続されていない場合、クライアントデバイスからアクセスできません。Wi-Fiの切断、LANケーブルの抜け、IPアドレスの競合などが考えられます。
- ルーター設定の問題(ポートフォワーディングなど):外部ネットワーク(自宅外)からPlexにアクセスしようとしている場合、ルーターのポートフォワーディング設定が正しくない、または変更されてしまった可能性があります。ローカルネットワーク内では問題なくても、外部からアクセスできない場合はこの原因が考えられます。
- Plex Media Serverソフトウェアの破損またはバグ:Plex Media Serverのインストール自体が破損している、または特定のバージョンにバグがあるために正常に起動できない場合があります。この場合は、Plexの再インストールやアップデートが必要です。
4. Plex Media Serverで恒久的に再発を防ぐには
一度問題が解決しても、将来的に同じエラーが再発しないように、以下の対策を講じることをお勧めします。
4.1. Windowsファイアウォールの設定を確認し、例外を追加する
Plex Media Serverがネットワーク経由で通信できるよう、Windowsファイアウォールの設定を確認し、必要であれば例外を追加します。
# 管理者権限でPowerShellを起動
# Plex Media Serverが使用する主要なポート (デフォルトは32400) を確認
# 通常、Plex Media Serverはインストール時に自動的にファイアウォールルールを追加しますが、
# 何らかの理由で削除されたり無効になったりすることがあります。
# 既存のPlexルールを確認(オプション)
Get-NetFirewallRule -DisplayName "Plex Media Server*" | Format-Table Name, DisplayName, Enabled, Direction, Action
# もしルールが存在しないか、無効になっている場合、以下のコマンドで手動で追加します。
# TCPポート32400を許可する受信ルールを追加
# これはPlexが外部からの接続を受け入れるために必要です。
New-NetFirewallRule -DisplayName "Plex Media Server (TCP 32400 Inbound)" `
-Direction Inbound `
-Action Allow `
-Protocol TCP `
-LocalPort 32400 `
-Program "C:\Program Files (x86)\Plex\Plex Media Server\Plex Media Server.exe" `
-Profile Any `
-Enabled True
# UDPポート1900、5353も追加検討(発見サービスなどに利用)
# New-NetFirewallRule -DisplayName "Plex Media Server (UDP 1900 Inbound)" -Direction Inbound -Action Allow -Protocol UDP -LocalPort 1900 -Program "C:\Program Files (x86)\Plex\Plex Media Server\Plex Media Server.exe" -Profile Any -Enabled True
# New-NetFirewallRule -DisplayName "Plex Media Server (UDP 5353 Inbound)" -Direction Inbound -Action Allow -Protocol UDP -LocalPort 5353 -Program "C:\Program Files (x86)\Plex\Plex Media Server\Plex Media Server.exe" -Profile Any -Enabled True
# 既存のPlex Media Serverプログラムに対する受信/送信ルールが「有効」になっていることを確認してください。
# 「コントロールパネル」 -> 「Windows Defender ファイアウォール」 -> 「Windows Defender ファイアウォールを介したアプリまたは機能を許可」からGUIで設定することも可能です。
4.2. Plex Media Serverの自動起動設定を確認する
Windowsが起動した際にPlex Media Serverが自動的に開始されるよう設定されているか確認します。
# 管理者権限でPowerShellを起動
# Plex Media Serverサービスのスタートアップの種類を確認
Get-Service -DisplayName "Plex Media Server" | Select-Object DisplayName, StartType
# もしStartTypeが「Manual」になっている場合、以下のコマンドで「Automatic」に変更します。
Set-Service -DisplayName "Plex Media Server" -StartupType Automatic
# 設定が変更されたことを確認
Get-Service -DisplayName "Plex Media Server" | Select-Object DisplayName, StartType
これにより、PCが再起動してもPlex Media Serverが自動的に起動し、手動で起動し忘れることによるエラーを防ぐことができます。
4.3. Plex Media Serverを定期的にアップデートする
Plexは定期的に新機能の追加やバグ修正を行っています。
最新バージョンにアップデートすることで、既知の問題が解消され、システムの安定性が向上します。
Plex Web Appの「設定」→「一般」からアップデートを確認・実行できます。
4.4. ネットワーク環境の安定化
- 有線LAN接続の検討: 可能な限り、Wi-Fiではなく有線LANでサーバーPCをルーターに接続することで、安定したネットワーク接続を確保できます。
- IPアドレスの固定: サーバーPCのローカルIPアドレスを固定(静的IPアドレス)することで、IPアドレスの変更による接続不良を防ぐことができます。
- ルーターの再起動: 定期的にルーターを再起動することで、ルーターの一時的な不具合を解消し、ネットワーク環境をリフレッシュできます。
4.5. Plexログファイルの確認
もし問題が頻繁に発生し、上記の対策でも解決しない場合は、Plex Media Serverのログファイルを確認することが診断の手がかりになります。
ログファイルは通常、%LOCALAPPDATA%\Plex Media Server\Logs フォルダ内に保存されています。
特に Plex Media Server.log ファイルには、サーバーの起動状況やエラーに関する情報が記録されています。
これらの対策を講じることで、「Plex: Server not available」エラーの発生を大幅に減らし、Plex Media Serverをより快適に利用できるようになるでしょう。