OBS Studioをご利用中に「OBS: Failed to open NDI source」というエラーメッセージに遭遇し、お困りではありませんか?このエラーは、NDIソースを読み込めない場合に表示され、ストリーミングや録画の計画が中断されてしまうと焦ってしまいますよね。
ご安心ください。このエラーの主な原因は、NDI関連ソフトウェアの不足、設定ミス、またはネットワークの問題に集約されます。本記事では、Windowsユーザーの皆さんがすぐに問題を解決できるよう、最も効果的で簡単な解決策から順に、具体的な手順とコマンドを交えて詳しく解説します。読み終わる頃には、NDIソースがOBS Studioに正常に表示され、快適な配信環境を取り戻せるはずです。
目次
1. OBS: Failed to open NDI source とは?(概要と緊急度)
「OBS: Failed to open NDI source」は、OBS Studioが指定されたNDI(Network Device Interface)ソースからの映像や音声を正常に受信・開くことができない状態を示します。NDIは、ネットワーク経由でビデオやオーディオをリアルタイムに送受信するためのプロトコルであり、複数のPCやデバイス間でコンテンツを共有する際に非常に便利です。
このエラーが発生すると、NDIソースとして追加しようとしたカメラ映像や別のPCの画面などがOBS Studioに表示されず、配信や録画ができません。緊急度は中程度ですが、解決しない限りNDIを利用したワークフローは中断されます。しかし、ほとんどの場合、簡単な手順で解決可能です。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
解決策1:NDI Runtime (NDI Tools) のインストールとOBS NDIプラグインの確認
このエラーの最も一般的な原因は、必要なNDIソフトウェアがシステムにインストールされていないか、適切に動作していないことです。NDIソースを利用するには、NewTek(現在はVizrt)が提供する「NDI Tools」に含まれるNDI Runtimeと、OBS Studio用の「OBS NDIプラグイン」の両方が必要です。
ステップ1:NDI Runtime (NDI Tools) をダウンロードしインストールする
NDIデバイスとの通信に必要な基盤ソフトウェアです。最新版を公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。
- 公式の NDI Tools ウェブサイトにアクセスします。
- 「NDI Tools」セクションを見つけ、「Download」ボタンをクリックします。
- 表示されるフォームに必要事項を入力し(無料です)、ダウンロードリンクを取得します。
- ダウンロードしたインストーラー(通常は
NDIToolsForWindows.exeのようなファイル名)を実行し、画面の指示に従ってインストールを完了します。 - インストール後、PCを再起動することをお勧めします。
ステップ2:OBS NDIプラグインを確認・再インストールする
NDI Runtimeのインストール後、OBS StudioがNDIソースを認識できるようにするためのプラグインも確認が必要です。
- 公式の OBS NDI プラグインのページにアクセスします。
- 最新版のインストーラー(例:
obs-ndi-XX-Windows-Installer.exe)をダウンロードします。 - OBS Studioを完全に終了します。
- ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了します。既存のバージョンがある場合でも上書きインストールしてください。
- インストール後、OBS Studioを起動し、NDIソースを追加できるか確認します。(
ソース→+→NDI Sourceが表示され、NDIソースが選択できるか)
上記の手順で問題が解決しない場合や、ネットワーク関連の問題が疑われる場合は、以下のコマンドを試して、システムの状態をリフレッシュしてみましょう。
# 管理者としてPowerShellまたはコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを一つずつ実行してください。
# 1. ネットワークアダプターのIPアドレスを解放し、再取得します
# これにより、一時的なIPアドレスの競合やDHCP関連の問題が解決する場合があります。
ipconfig /release
ipconfig /renew
# 2. DNSキャッシュをクリアします
# NDIソースの検出にDNSが関わる場合、古い情報が原因となることがあります。
ipconfig /flushdns
# 3. Winsockカタログをリセットします
# ネットワーク接続の基盤となるWinsockプロトコルスタックの問題を修正します。
netsh winsock reset
# 4. Windowsのファイアウォール設定を確認します(NDI関連のルールをチェック)
# NDI通信はTCP/UDPポートを使用するため、ファイアウォールによってブロックされている可能性があります。
# 以下のコマンドで現在のファイアウォールルールの一部を確認できます。
# より詳細な設定は、Windows Defender ファイアウォールのGUIで行うのが一般的です。
Get-NetFirewallRule -DisplayName *NDI* | Format-Table Name, DisplayName, Enabled, Action -AutoSize
# もしファイアウォールがNDI通信をブロックしている可能性がある場合、
# 一時的にファイアウォールを無効にしてテストすることもできますが、セキュリティリスクを伴います。
# 問題解決後には必ず元に戻すか、NDIに必要なポート(例: TCP/UDP 5960-5980番台)を許可するルールを追加してください。
# ファイアウォールを一時的に無効にするコマンド (非推奨、自己責任で):
# Set-NetFirewallProfile -Profile Domain,Private,Public -Enabled False
#
# ファイアウォールを有効に戻すコマンド:
# Set-NetFirewallProfile -Profile Domain,Private,Public -Enabled True
# 5. PCを再起動します
# 上記コマンドの多くは再起動後に効果を発揮するため、すべてのコマンド実行後にPCを再起動してください。
3. OBS: Failed to open NDI source が発生する主要な原因(複数)
「OBS: Failed to open NDI source」エラーは、以下に示す複数の原因によって引き起こされる可能性があります。これらの原因を理解することで、より的確なトラブルシューティングが可能になります。
- NDI Runtime (NDI Tools) がインストールされていない、または古い: NDIデバイスとの通信に必要な基盤ソフトウェアが不足しているか、バージョンが古いために新しいNDIデバイスに対応できていない場合。
- OBS NDIプラグインがインストールされていない、または互換性がない: OBS StudioがNDIソースを認識するためのプラグインが導入されていないか、OBS Studioのバージョンとプラグインのバージョンが一致していない場合。
- ファイアウォールやセキュリティソフトによるブロック: Windows Defender Firewallやサードパーティ製のセキュリティソフトウェアが、NDI通信に必要なネットワークポート(通常、TCP/UDP 5960-5980番台)をブロックしている場合。
- ネットワーク設定の問題:
- NDI送信元とOBS Studioを動作させているPCが異なるネットワークセグメントにいる(例: 異なるWi-Fiネットワークに接続している、VPN経由で通信しようとしている)。
- IPアドレスの競合やDNSの問題。
- ルーターやネットワークスイッチの設定(IGMPスヌーピングなど)がNDIのマルチキャスト通信を妨げている。
- NDIソース側の問題:
- NDIソースとして利用したいデバイスやソフトウェア(例: NDI HXカメラ、別のPCのNDI出力)が正常に起動していない、またはNDI出力が有効になっていない。
- NDIソース側のファイアウォールがNDI送信をブロックしている。
- OBS StudioやOSの一時的な不具合: OBS Studio自体やWindows OSの一時的なキャッシュ、プロセスの問題がNDIの認識を妨げている場合。
4. OBS Studioで恒久的に再発を防ぐには
一度解決しても、再び同じエラーに悩まされないために、以下の点に注意して運用することをお勧めします。
- NDI ToolsとOBS NDIプラグインの定期的なアップデート:NDIテクノロジーやOBS Studioは常に進化しています。NDI ToolsやOBS NDIプラグインを定期的に最新バージョンに保つことで、互換性の問題や既知のバグを回避できます。アップデートの際は、公式サイトから直接ダウンロードするようにしましょう。
- ファイアウォールとセキュリティソフトの設定確認:新しいNDIデバイスやソフトウェアを導入する際、またはOSやセキュリティソフトのアップデート後には、NDI通信に必要なポート(TCP/UDP 5960-5980番台が一般的)がブロックされていないか確認しましょう。必要に応じて、OBS StudioやNDI関連のアプリケーションをファイアウォールの例外に追加してください。
- Windows Defender ファイアウォールの設定手順:
- 「Windowsのセキュリティ」を開き、「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックします。
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリックします。
- 「設定の変更」をクリックし、NDI ToolsやOBS Studioにチェックが入っているか、プライベートとパブリックネットワークの両方で許可されているか確認します。
- 必要に応じて、「別のアプリを許可」からNDI関連の実行ファイル(例: NDI Virtual Inputなど)を追加します。
- Windows Defender ファイアウォールの設定手順:
- 安定したネットワーク環境の維持:NDIはネットワーク帯域を消費します。安定した有線LAN接続を推奨し、NDI専用のVLANを構築するなど、ネットワーク環境の最適化を検討してください。また、Wi-Fiを使用する場合は、安定した電波強度と十分な帯域幅を確保することが重要です。
- NDIソースの設定と確認:NDIソースとして使用するデバイスやソフトウェアが、常に適切に設定され、NDI出力が有効になっていることを確認する習慣をつけましょう。OBS StudioでNDIソースを追加する前に、NDI Toolsに含まれる「NDI Studio Monitor」などで、目的のNDIソースがネットワーク上で見えているかを確認すると、問題の切り分けに役立ちます。
- OSの最新状態維持:Windows OSのアップデートは、ネットワーク関連のドライバや機能の改善を含んでいる場合があります。OSを最新の状態に保つことも、NDIの安定動作に寄与します。
これらの対策を講じることで、「OBS: Failed to open NDI source」エラーの発生を大幅に減らし、スムーズなOBS StudioでのNDI運用を実現できるでしょう。