【解決】 Kubernetes: Readiness probe failed の解決方法と原因 | Kubernetes トラブルシューティング

Kubernetes環境で「Readiness probe failed」のエラーメッセージに遭遇し、お困りではありませんか? このエラーは、あなたのコンテナアプリケーションが一時的にトラフィックを受け入れる準備ができていないことを示しており、決して珍しいことではありません。ご安心ください、多くの場合、簡単な手順で解決できます。この記事では、Windowsユーザーの皆さんがPowerShellやCmdを使って、この問題を迅速に特定し解決するための具体的な手順を、論理的な構成でご案内します。

1. Kubernetes: Readiness probe failed とは?(概要と緊急度)

「Readiness probe failed」は、Kubernetesがデプロイしたコンテナに対して定期的に「準備はできたか?」と問い合わせるヘルスチェック(Readiness Probe)が失敗したことを意味します。このプローブは、コンテナが外部からのリクエストを処理できる状態にあるかを確認するために非常に重要です。

  • 概要: コンテナ内のアプリケーションが起動中である、初期化処理を行っている、または何らかの問題でリクエストを受け付けられない状態にあるときに発生します。この状態のコンテナは、サービスメッシュやロードバランサーから一時的に切り離され、トラフィックがルーティングされなくなります。
  • 緊急度: 中程度。一時的な問題であれば、コンテナが準備完了次第、自動的に復旧します。しかし、継続的に失敗する場合は、アプリケーションやKubernetesの設定に根本的な問題がある可能性があり、サービスの安定性に影響を与えます。ユーザーへの影響を最小限に抑えるためにも、早めの対処が望ましいです。

2. 【最速】今すぐ試すべき解決策

まずは、最も手軽で効果的な解決策から試してみましょう。多くのケースでは、Podの再起動やログの確認で問題が解決したり、原因が特定できたりします。

解決策1:問題のPodを特定し、Deploymentを再起動する

「Readiness probe failed」が発生しているPodを特定し、そのPodを含むDeploymentを再起動することで、一時的な不具合や起動時の競合状態が解消されることがあります。WindowsのPowerShellまたはCmdで以下のコマンドを実行してください。

ステップ1: 問題のPodを特定する

まず、どのPodでReadiness Probeが失敗しているかを確認します。-o wideオプションでノード情報も表示すると便利です。

kubectl get pods -o wide --watch

Readiness列が0/1falseとなっているPodを探し、そのPod名と所属するDeployment名をメモしておきます。

ステップ2: Podの詳細とイベントログを確認する

特定のPodについて、より詳細な情報とイベントログを確認します。ここにReadiness Probeが失敗した具体的な理由が記載されていることが多いです。

kubectl describe pod <pod-name>

例: kubectl describe pod my-app-7b8c9d-abcde

出力された情報の中で、特にEventsセクションとReadiness:セクションに注目してください。例えば、「Readiness probe failed: HTTP GET http://... connection refused」のようなメッセージは、アプリケーションが指定されたポートで応答していないことを示唆します。

ステップ3: コンテナのログを確認する

アプリケーション内部で何が起こっているかを知るために、コンテナのログを確認します。

kubectl logs <pod-name>

もしPodに複数のコンテナがある場合は、-c <container-name>オプションで対象コンテナを指定します。

kubectl logs <pod-name> -c <container-name>

例: kubectl logs my-app-7b8c9d-abcde -c my-app-container

ここから、アプリケーションが起動に失敗している、データベース接続でエラーが出ているなどのヒントが得られるかもしれません。

ステップ4: Deploymentを再起動する

ログを確認してもすぐに原因が特定できない、または一時的な問題である可能性が高い場合は、Deploymentを再起動することで解決することがあります。これは、Kubernetesが新しいPodを起動し、古いPodを順次終了させるため、サービスへの影響を最小限に抑えつつ問題をリフレッシュする方法です。

kubectl rollout restart deployment <deployment-name>

例: kubectl rollout restart deployment my-application

このコマンド実行後、再度kubectl get pods --watchで新しいPodが正常に起動し、Readiness Probeが成功するかどうかを監視してください。

3. Kubernetes: Readiness probe failed が発生する主要な原因(複数)

上記の対処法で解決しない場合、以下のいずれかの原因が考えられます。

  • コンテナの起動が遅い、または初期化に時間がかかっている: アプリケーションの起動に時間がかかりすぎ、Readiness Probeがタイムアウトする前に準備が完了しないケースです。データベースへの接続待ち、大量のデータロードなどがこれに該当します。
  • アプリケーションがまだ準備できていない: コンテナ自体は起動しているものの、アプリケーション内部のロジックがまだトラフィックを受け入れる準備ができていない状態です(例: 内部キャッシュの構築、依存サービスとの接続確立中)。
  • Readiness Probeの設定ミス:
    • ポート番号の誤り: Probeが間違ったポートをチェックしている。
    • パスの誤り: HTTP GET Probeの場合、存在しないパスをチェックしている。
    • コマンドの誤り: Exec Probeの場合、実行されるコマンドが期待通りに成功ステータスを返さない。
    • タイムアウト値が短すぎる: コンテナの起動に時間がかかるにも関わらず、ProbeのtimeoutSecondsが短すぎる。
  • リソース不足: Podに割り当てられたCPUやメモリが不足しているために、アプリケーションが正常に起動・動作できない。
  • 外部サービスへの依存: アプリケーションがデータベースや外部APIなど、他のサービスに依存している場合、それらのサービスが利用できないとReadiness Probeが失敗することがあります。
  • ネットワークの問題: Kubernetesクラスター内部または外部のネットワーク接続に問題があり、Probeがコンテナに到達できない。

4. Kubernetesで恒久的に再発を防ぐには

一時的な解決策だけでなく、根本的な原因に対処し、再発を防ぐための方法を検討しましょう。

  1. Readiness Probe設定の最適化:
    • initialDelaySecondsの調整: コンテナが起動してから最初のProbeが実行されるまでの遅延時間を適切に設定します。アプリケーションの起動に時間がかかる場合は、この値を増やしましょう。
    • periodSecondsの調整: Probeが実行される頻度を調整します。アプリケーションが安定するまで、少し長めに設定することも有効です。
    • timeoutSecondsの調整: Probeが失敗と判断されるまでの時間を調整します。少し余裕を持たせることで、一時的な遅延による失敗を防げます。
    • 適切なProbeタイプの選択:
      • HTTP GET Probe: アプリケーションがHTTPエンドポイントを提供している場合に最適です。ヘルスチェック専用のエンドポイントを用意し、アプリケーションが完全に準備できたときにのみ200 OKを返すように実装しましょう。
      • TCP Socket Probe: HTTPエンドポイントがない場合や、単に特定のポートが開いているかを確認したい場合に利用します。
      • Exec Probe: コンテナ内で特定のコマンドを実行し、その終了コードで成功・失敗を判断します。より複雑な準備状況のチェックに適しています。
  2. アプリケーションの起動ロジック改善:アプリケーション自体が、すべての初期化処理(DB接続、設定ロードなど)が完了してからHTTPサーバーを起動する、またはヘルスチェックエンドポイントで「準備完了」を返すように実装を改善します。
  3. リソース割り当ての見直し:Podのrequestslimitsを適切に設定し、アプリケーションが必要とするCPUとメモリが確実に割り当てられるようにします。これにより、リソース不足による起動失敗を防ぎます。
    resources:
      requests:
        memory: "256Mi"
        cpu: "250m"
      limits:
        memory: "512Mi"
        cpu: "500m"
  4. initContainersの活用:アプリケーションの起動前に特定の処理(データベースのマイグレーション、外部リソースのダウンロードなど)が必要な場合、initContainersを使用してそれらの前処理を実行させます。initContainersが全て成功するまで、メインコンテナは起動しません。
  5. 詳細なロギングとメトリクス監視:アプリケーションのログレベルを調整し、起動プロセスや依存サービスとの接続状況を詳細に記録することで、問題発生時の原因特定を容易にします。また、Prometheusなどの監視ツールでアプリケーションやPodのメトリクスを監視し、異常を早期に検知できるようにしましょう。

これらの対策を講じることで、「Readiness probe failed」エラーの再発を効果的に防ぎ、Kubernetes環境の安定性を向上させることができます。焦らず、一つずつ確認し、最適な解決策を見つけていきましょう。