Javaアプリケーションを運用していると、突然「java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace」というエラーに遭遇し、アプリケーションが停止してしまうことがあります。このエラーは、JVMがクラス定義などのメタデータを格納するために確保している領域が不足したことを示しています。
ご安心ください。このエラーはJVMの設定変更で解決できることがほとんどです。この記事では、Windowsユーザーの皆さんがこの問題を迅速に解決し、さらに再発を防止するための具体的な手順を解説します。
目次
1. Java: java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace とは?(概要と緊急度)
「java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace」エラーは、Java Virtual Machine (JVM) がクラスのメタデータ(クラス名、メソッド情報、フィールド情報など)を保存する領域である「Metaspace」のメモリが枯渇した際に発生します。
Java 8以降では、このメタデータ領域は従来の「PermGen (Permanent Generation)」から「Metaspace」へと変更されました。MetaspaceはデフォルトではOSのネイティブメモリを使用し、自動的に拡張されるようになっていますが、上限が設定されている場合や、非常に多くのクラスがロードされるアプリケーションでは、このエラーが発生することがあります。
このエラーが発生すると、アプリケーションは正常に動作を継続できなくなり、多くの場合、停止してしまいます。そのため、非常に緊急度の高い問題と言えますが、適切な対処を行えば比較的容易に解決可能です。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
Java: java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace エラーの最も一般的で即効性のある解決策は、JVMの起動オプションを変更し、Metaspaceに割り当てる最大メモリサイズを増やすことです。これにより、JVMがより多くのクラスメタデータを格納できるようになります。
解決策1:JVM起動オプションに -XX:MaxMetaspaceSize を追加する
Javaアプリケーションを起動する際のコマンドラインに、-XX:MaxMetaspaceSize オプションを追加して、Metaspaceの最大サイズを指定します。まずは、現在の設定よりも大きな値を設定して、エラーが解消されるか確認してみましょう。
たとえば、現在のアプリケーションが256MBでエラーになる場合、倍の512MBや1024MBを試してみてください。
具体的なWindowsコマンドまたは手順
アプリケーションをJARファイルとして直接実行している場合、以下のようにコマンドを変更します。
java -XX:MaxMetaspaceSize=512m -jar YourApplication.jar
または、環境変数 JAVA_OPTS を利用している場合、以下のように設定を追加します。(これはアプリケーションサーバーなどでよく使われる方法です。)
# PowerShellの場合
$env:JAVA_OPTS = "$env:JAVA_OPTS -XX:MaxMetaspaceSize=512m"
java $env:JAVA_OPTS -jar YourApplication.jar
# Cmdの場合
set JAVA_OPTS=%JAVA_OPTS% -XX:MaxMetaspaceSize=512m
java %JAVA_OPTS% -jar YourApplication.jar
ヒント:
512mは512メガバイトを意味します。1gと指定すれば1ギガバイトになります。- TomcatやJBoss/WildFlyなどのアプリケーションサーバーを使用している場合は、それぞれの設定ファイル(例: Tomcatの
catalina.bat、またはsetenv.bat)内でJVMオプションを設定する箇所を探し、JAVA_OPTSまたはCATALINA_OPTSにこのオプションを追加してください。 - まずはエラーが出ない程度に大きめに設定し、その後、Metaspaceの使用状況を監視しながら適切な値に調整していくことをお勧めします。
3. Java: java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace が発生する主要な原因(複数)
Metaspace エラーは、単にデフォルト設定が不足しているだけでなく、以下のような複数の要因によって引き起こされる可能性があります。
- Metaspaceのデフォルトサイズが不足している: 最も一般的な原因です。特に、大規模なアプリケーションや多くのライブラリを使用するアプリケーションでは、デフォルトのMetaspaceサイズでは足りなくなることがあります。
- 大量のクラスが動的に生成・ロードされている:
- リフレクションを多用するフレームワークやライブラリ(例: ORMフレームワーク、AOPライブラリ)。
- コード生成ツールや動的なプロキシ生成を行うアプリケーション。
- 頻繁に新しいクラスローダーを作成し、不要になったクラスローダーを適切に解放しないアプリケーション。
- クラスローダーリーク: アプリケーションの再デプロイを繰り返す環境(開発環境やテスト環境)で発生しやすい問題です。古いアプリケーションのクラスローダーが適切にガーベージコレクションされず、Metaspace領域を占有し続けることで、新たなデプロイ時にMetaspace不足を引き起こします。
- サードパーティライブラリやフレームワークのMetaspace消費: 特定のライブラリやフレームワークが、内部的に多くのクラスをロードしたり、動的に生成したりすることでMetaspaceを大量に消費する場合があります。
4. Java (JVM)で恒久的に再発を防ぐには
一時的な解決策として -XX:MaxMetaspaceSize を増やすことは有効ですが、根本的な原因を特定し、恒久的に再発を防ぐための対策も重要です。
- Metaspaceの適切なチューニング:
- 前述の
-XX:MaxMetaspaceSizeオプションを、アプリケーションのピーク時のMetaspace使用量を考慮した上で、少し余裕を持たせた値に設定します。 -XX:MetaspaceSizeオプションを使って初期サイズを指定することもできますが、通常はMaxMetaspaceSizeの設定で十分です。
- 前述の
- Metaspace使用状況の監視:
- JConsole、VisualVM、JMXなどのツールを使用して、アプリケーション稼働中のMetaspaceの使用量と最大値、GCの頻度などを継続的に監視します。これにより、適切なMetaspaceサイズを特定したり、異常な増加を早期に検知したりできます。
- コマンドラインからは
jstat -gcutil <pid>やjcmd <pid> GC.heap_infoなどでMetaspaceの情報も確認できます。
- クラスローダーリークの特定と解消:
- 特にアプリケーションの再デプロイ後にエラーが発生する場合、クラスローダーリークの可能性が高いです。
- プロファイリングツール(JProfiler, YourKit, VisualVMなど)を使用して、ヒープダンプを解析し、GCルートを持った古いクラスローダーが残存していないか確認します。
- アプリケーションサーバーのデプロイメント設定を見直す、アプリケーション内でリソース(スレッドプール、データベースコネクションなど)が適切にクローズされているか確認するなどの対策が必要です。
- コードレベルでの改善:
- 動的なクラス生成が多すぎる場合、それが本当に必要か、より効率的な設計にできないか検討します。
- 不必要なクラスのロードを避ける、リフレクションの使用を最小限に抑えるなどのコードレビューを行います。
これらの対策を組み合わせることで、java.lang.OutOfMemoryError: Metaspace の問題を根本的に解決し、安定したJavaアプリケーション運用を実現できるでしょう。