DaVinci Resolveをお使いの際、「Codec Missing: Decoding failed」というエラーメッセージに遭遇し、大切な作業が中断されてしまったかもしれません。ご安心ください。この問題は、多くのWindowsユーザーが経験する一般的なものであり、ほとんどの場合、ご自身で簡単に解決できます。
この記事では、このエラーの原因を特定し、最も迅速に問題を解決するための具体的な手順を、Windowsユーザー向けにPowerShellまたはCmdコマンドを交えながら詳しく解説します。一緒に解決していきましょう。
目次
1. DaVinci Resolve: Codec Missing: Decoding failed とは?(概要と緊急度)
このエラーメッセージは、DaVinci Resolveが読み込もうとしている動画ファイル(メディアファイル)を再生するために必要なデコーダー(コーデック)が、現在お使いのWindowsシステムにインストールされていないことを意味します。
例えば、iPhoneで撮影した最新の動画ファイル(多くの場合、高効率なH.265/HEVC形式)や、プロの現場でよく使われるApple ProRes形式の動画などを編集しようとした際に発生することがあります。このエラーが発生すると、対象のメディアファイルをDaVinci Resolveでプレビューしたり、編集したりすることができなくなるため、作業の進行を妨げる緊急度の高い問題と言えます。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
まずは、最もシンプルで効果的な解決策からご紹介します。多くの場合、以下のいずれかの方法で問題が解決します。
解決策1:H.265/HEVCコーデックのインストール(多くのWindowsユーザーに該当)
もし、エラーが発生しているファイルがH.265(HEVC)形式である場合、WindowsストアからHEVCビデオ拡張機能をインストールすることで、すぐに問題が解決する可能性があります。これは、特にWindowsのN/KNエディションや、HEVCコーデックがプリインストールされていない環境で役立ちます。
- PowerShellを開きます。 検索バーに「PowerShell」と入力し、「Windows PowerShell」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- 以下のコマンドを実行して、Microsoft StoreのHEVCビデオ拡張機能ページを開きます。
start ms-windows-store://pdp/?ProductId=9n4wgh0z6vhq
- 表示されたストアページで「入手」または「インストール」をクリックし、HEVCビデオ拡張機能をインストールします。
- インストールが完了したら、DaVinci Resolveを再起動し、問題のファイルを再度読み込んでみてください。
ヒント: 上記の有料版が提示される場合、デバイスの製造元から無料で提供されている「HEVCビデオ拡張機能」をインストールすることもできます。Windowsストアで「HEVCビデオ拡張機能」と検索し、提供元が「デバイス製造元」となっているものを探してみてください。
解決策2:DaVinci Resolveのメディアキャッシュをクリアする
稀に、DaVinci Resolveのメディアキャッシュが破損していることで、誤ってコーデックエラーが発生する場合があります。この場合は、キャッシュをクリアすることで問題が解決することがあります。これはWindowsのコマンドではありませんが、DaVinci Resolve内で手軽に試せる有効な方法です。
- DaVinci Resolveを開き、上部メニューの「DaVinci Resolve」>「環境設定 (Preferences)」を選択します。
- 「システム (System)」セクションの「メディアストレージ (Media Storage)」タブに移動します。
- 「DaVinci Resolveプロジェクトライブラリのキャッシュファイルとギャラリースティルを削除する (Delete cache files and gallery stills for DaVinci Resolve projects)」ボタンをクリックします。
- 確認メッセージが表示されたら「OK」をクリックし、DaVinci Resolveを再起動して問題のファイルを再度読み込んでみてください。
3. DaVinci Resolve: Codec Missing: Decoding failed が発生する主要な原因(複数)
このエラーが発生する主な原因は複数考えられます。原因を理解することで、今後のトラブルを未然に防ぐことができます。
- 必要なコーデックがOSにない: これが最も一般的な原因です。特に、H.265/HEVC、ProRes、VP9などの比較的新しい、または特定の用途向けのコーデックがWindowsに標準で搭載されていない場合に発生します。
- WindowsのN/KNエディション: WindowsのNまたはKNエディションは、メディア関連の機能(メディアプレーヤー、コーデックなど)がデフォルトで含まれていません。この場合、別途メディア機能パックをインストールする必要があります。
- ファイル形式の非互換性: DaVinci Resolveがサポートしていない特殊なファイル形式や、古すぎる、あるいは将来的にサポートが終了する可能性のある形式を使用している場合があります。
- メディアファイルの破損: 稀に、読み込もうとしている動画ファイル自体が破損しているために、コーデックエラーとして認識されることがあります。
- DaVinci Resolveの一時的な不具合: ソフトウェアの一時的なグリッチや、古いバージョンを使用している場合に、コーデックが正しく認識されないことがあります。
4. DaVinci Resolveで恒久的に再発を防ぐには
一度問題を解決しても、また同じエラーに遭遇するのは避けたいものです。以下の対策を講じることで、今後同様のトラブルが発生するリスクを大幅に減らすことができます。
- OSのメディア機能パックを導入する(N/KN版Windowsユーザー向け): もしWindowsのNまたはKNエディションを使用している場合は、Microsoftのウェブサイトから「Media Feature Pack」をダウンロードしてインストールしてください。これにより、基本的なメディア関連の機能が追加されます。
- 最新バージョンのDaVinci Resolveを維持する: DaVinci Resolveは定期的にアップデートされ、新しいコーデックのサポートや既存のバグ修正が行われます。常に最新バージョンに保つようにしましょう。
- 必要なコーデックパックをインストールする: 使用するメディアファイルの種類に応じて、必要なコーデックパック(例: ProResの公式コーデック、K-Lite Codec Packなど)を信頼できるソースからインストールすることを検討してください。ただし、コーデックパックのインストールはシステムの安定性に影響を与える可能性もあるため、慎重に検討し、信頼できるものを選びましょう。
- 互換性の高いファイル形式を使用する: DaVinci Resolveで頻繁にエラーが発生する場合は、編集ワークフローの初期段階で動画ファイルをより互換性の高い形式(例: H.264、DNxHD/HRなど)に変換することを検討してください。FFmpegなどのツールが有効です。
- 定期的なOSアップデート: Windows OSを最新の状態に保つことで、セキュリティパッチだけでなく、メディア関連の機能改善や新しいコーデックサポートが適用されることがあります。
「Codec Missing: Decoding failed」エラーは、適切な手順を踏めば必ず解決できる問題です。この記事が、あなたのDaVinci Resolveでのクリエイティブな作業をスムーズに進める一助となれば幸いです。