目次
1. Unreal Engine: Fatal error: UE4Editor has stopped working とは?(概要と緊急度)
Unreal Engineでの開発中に、突然「Fatal error: UE4Editor has stopped working」というエラーメッセージが表示され、エディタが強制終了してしまうことがありますね。これはUnreal Engine開発者が一度は経験する非常に一般的なエラーであり、決してあなただけの問題ではありませんのでご安心ください。
このエラーが発生すると、現在進行中の作業が中断され、最悪の場合は未保存の変更が失われる可能性もあるため、プロジェクトの進行を停止させる緊急度の高い問題です。しかし、原因の多くは特定可能であり、適切な手順を踏むことで解決に導くことができます。
このエラーは、C++コードのコンパイルエラーやブループリント(BP)の無限ループ、メモリ不足、グラフィックドライバの問題など、さまざまな要因で引き起こされます。次のセクションでは、まず最も効果的な解決策を提示します。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
この「Fatal error」に遭遇したら、まずは落ち着いて、これからご紹介する「最も簡単で効果的な手順」を試してみてください。多くの場合、これによりすぐに問題の原因を特定し、解決に導くことができます。
解決策1:クラッシュログを確認する
Unreal Engineは、エディタがクラッシュした際に非常に詳細なログファイルを生成します。このログを分析することで、何が原因でエディタが停止したのかを高い確率で特定できます。ログファイルは、問題解決の最も重要な手がかりとなります。
以下の手順で、最新のクラッシュログファイルを開いてみましょう。PowerShellを使用すると、簡単に最新のログファイルにアクセスできます。
クラッシュログの確認手順
- Unreal Engineプロジェクトのルートフォルダを確認します。(例:
C:\Users\YourUser\Documents\Unreal Projects\MyAwesomeProject) - 以下のPowerShellコマンドを実行し、最新のクラッシュログファイルを開きます。
# --- 実行する前に、[YourProjectRootPath] をあなたのプロジェクトのルートパスに置き換えてください ---
$projectRootPath = "C:\Users\YourUser\Documents\Unreal Projects\MyAwesomeProject" # ここをあなたのプロジェクトパスに!
# クラッシュログフォルダ (Saved/Crashes) を確認
$crashLogPath = Join-Path $projectRootPath "Saved\Crashes"
if (Test-Path $crashLogPath) {
# 最新のクラッシュフォルダを見つける
$latestCrashFolder = Get-ChildItem -Path $crashLogPath -Directory | Sort-Object LastWriteTime -Descending | Select-Object -First 1
if ($latestCrashFolder) {
# 最新のクラッシュフォルダ内のログファイルを見つける (通常 .log または .dmp)
$logFile = Get-ChildItem -Path $latestCrashFolder.FullName -Filter "*.log" | Sort-Object LastWriteTime -Descending | Select-Object -First 1
if ($logFile) {
Write-Host "最新のクラッシュログファイルを開きます: $($logFile.FullName)"
notepad.exe $logFile.FullName
} else {
Write-Host "最新のクラッシュフォルダ内にログファイルが見つかりませんでした。別のログパスを確認します。"
}
} else {
Write-Host "クラッシュログフォルダにクラッシュデータが見つかりませんでした。一般的なログパスを確認します。"
}
} else {
Write-Host "クラッシュログフォルダ ($crashLogPath) が見つかりませんでした。一般的なログパスを確認します。"
}
# 一般的なログフォルダ (Saved/Logs) を確認 (クラッシュログがない場合や補足情報)
$generalLogPath = Join-Path $projectRootPath "Saved\Logs"
if (Test-Path $generalLogPath) {
# 最新の一般ログファイルを見つける (通常 .log)
$latestGeneralLog = Get-ChildItem -Path $generalLogPath -Filter "*.log" | Sort-Object LastWriteTime -Descending | Select-Object -First 1
if ($latestGeneralLog) {
Write-Host "最新の一般ログファイルを開きます: $($latestGeneralLog.FullName)"
notepad.exe $latestGeneralLog.FullName
} else {
Write-Host "一般的なログファイルが見つかりませんでした。"
}
} else {
Write-Host "一般的なログフォルダ ($generalLogPath) が見つかりませんでした。"
}
Write-Host "`nログファイルが開いたら、ファイルの下部から上部に向かって 'Error:', 'Fatal:', 'Warning:' などのキーワードを探してください。`nこれらのキーワードの周辺に、クラッシュの直接的な原因が示されていることが多いです。"
ログファイルが開いたら、特にファイルの最下部から上に向かって「Error:」「Fatal:」「Warning:」といったキーワードを探してみてください。これらのキーワードの近くに、クラッシュの直接的な原因や、問題が発生したC++ファイル名、ブループリントアセット名などが記載されていることが多いです。
解決策2:エディタの再起動とPCの再起動
非常に基本的なことですが、PCのメモリの一時的な問題やリソース不足が原因でエディタがクラッシュすることもあります。一度、Unreal Engineエディタを完全に終了し、その後PC自体を再起動してみてください。これだけで問題が解決する場合も少なくありません。
解決策3:直前の変更を元に戻す
もし最近行ったC++コードの変更やブループリントの編集、または新しいアセットのインポート後にこのエラーが発生した場合は、その変更が原因である可能性が非常に高いです。直前の変更を元に戻すことで、エラーを回避できる場合があります。
- C++コードの場合: Visual Studioで、変更を加えていない以前のバージョンに戻し、再度プロジェクトをビルドしてみてください。
- ブループリントの場合: 最後に編集したブループリントアセットに問題がないか確認し、可能であれば以前のバージョンに戻すか、一時的に削除してエディタを起動してみてください。
- 新しいアセットの場合: 新規インポートしたアセット(メッシュ、マテリアル、テクスチャなど)が破損している可能性もあります。それらを一時的にプロジェクトから除外して試してみましょう。
3. Unreal Engine: Fatal error: UE4Editor has stopped working が発生する主要な原因(複数)
クラッシュログを確認した後、具体的な原因についてさらに深く理解することは、今後の問題を未然に防ぐためにも重要です。このエラーが発生する主な原因をいくつかご紹介します。
C++コードのコンパイルエラーまたは実行時エラー
Unreal EngineでC++を使用している場合、プロジェクト内のC++コードに文法エラーや論理エラーがあると、エディタの起動時やコードのコンパイル時、または特定の関数が呼び出されたときにクラッシュを引き起こすことがあります。
- Nullポインタアクセス: 初期化されていないポインタを dereference しようとした場合。
- 未定義の動作: 配列の範囲外アクセスや解放済みメモリへのアクセスなど。
- ビルド設定の不一致: Visual Studioのビルド設定とUnreal Engineのプロジェクト設定が一致していない場合。
ログには、クラッシュした関数名やファイル名、行番号が示されていることが多いので、そこから原因を特定し、Visual Studioで修正してください。
ブループリントの無限ループまたは過度な複雑性
ブループリントは視覚的に分かりやすいですが、誤ったロジックを組むと無限ループに陥り、エディタのリソースを使い果たしてクラッシュすることがあります。
- Tickイベントでの重い処理: 毎フレーム実行されるTickイベント内で、時間がかかる処理や反復処理を大量に実行している場合。
- 再帰的な関数呼び出し: 停止条件がないまま関数が自身を何度も呼び出し続ける場合。
- 循環参照: 複数のブループリントが互いに依存し、ロード時にデッドロック状態になる場合。
クラッシュログで特定のブループリントアセットが言及されている場合、そのブループリントのロジックを見直す必要があります。
メモリ不足またはシステムリソースの枯渇
特に大規模なプロジェクトや、高解像度のテクスチャ、複雑なマテリアルを大量に使用している場合、PCのRAMやVRAMが不足してエディタがクラッシュすることがあります。
- 他のアプリケーションを閉じ、メモリを解放する。
- Windowsの仮想メモリ設定を確認・調整する。
- Unreal Engineの設定で、テクスチャストリーミングプールサイズなどを調整する。
グラフィックドライバの問題またはハードウェアの不具合
古い、または破損したグラフィックドライバは、Unreal EngineのようなGPU負荷の高いアプリケーションで安定性の問題を引き起こす主な原因の一つです。また、GPU自体やその他のハードウェア(RAMなど)に物理的な不具合がある場合も、クラッシュに繋がります。
- グラフィックドライバを最新バージョンに更新する。
- PCのハードウェア診断ツールを実行し、異常がないか確認する。
プラグインの競合または互換性の問題
プロジェクトにインストールされているサードパーティ製のプラグインがUnreal Engineのバージョンと互換性がなかったり、他のプラグインと競合したりすることで、エディタがクラッシュすることがあります。特にUnreal Engineのアップデート後に発生しやすいです。
- 最近インストールしたプラグインを一時的に無効にして試す。
- プラグインが対応しているUnreal Engineのバージョンを確認する。
破損したアセットまたはプロジェクトファイル
稀に、プロジェクト内の特定のアセットファイル(メッシュ、マテリアル、マップなど)が破損しているためにクラッシュが発生することもあります。また、プロジェクトファイル自体が損傷している可能性もゼロではありません。
- Gitなどのバージョン管理システムで、以前の正常な状態に戻してみる。
- 問題が疑われるアセットを再インポートまたは再作成してみる。
4. Unreal Engineで恒久的に再発を防ぐには
一度解決したとしても、同じエラーが再発しないように、以下の習慣を身につけることが非常に重要です。
バージョン管理システム (VCS) の導入
GitやPerforceのようなバージョン管理システムをプロジェクトに導入することは、Unreal Engine開発において不可欠です。これにより、行ったすべての変更履歴を管理し、問題が発生した場合にいつでも以前の安定した状態に簡単に戻すことができます。チーム開発だけでなく、個人開発でも絶大な効果を発揮します。
定期的なバックアップ
バージョン管理システムを利用していても、重要なプロジェクトデータは定期的に別の場所にバックアップを取る習慣をつけましょう。特に大きな変更を加える前や、安定した状態になった時点でのバックアップは非常に有効です。
C++コードの小まめなビルドとテスト
C++コードを変更したら、必ずVisual Studioで小まめにビルドし、エラーがないことを確認してからUnreal Engineエディタで動作確認を行いましょう。一度に大量のコードを変更すると、どこで問題が発生したか特定しにくくなります。Visual Studioの出力ウィンドウを常に確認し、警告にも注意を払うことが重要です。
ブループリントの最適化とデバッグの習慣化
複雑なブループリントを作成する際は、以下を心がけましょう。
- コメントの活用: ロジックが分かりやすくなるよう、丁寧にコメントを追加する。
- 関数の分割: 長いブループリントグラフは、分かりやすい関数やマクロに分割して管理する。
- デバッグツール: ブレークポイントやログ出力(Print Stringノードなど)を積極的に利用して、意図しないループや処理負荷を早期に発見・修正する。
- 「Pure」ノードの理解: 不必要な副作用を避けるために、「Pure」ノードと「Impure」ノードの違いを理解して使い分ける。
グラフィックドライバやOSの最新化
PCのグラフィックドライバは常に最新の状態に保ち、Windows Updateも定期的に適用して、システムの安定性を維持しましょう。古いドライバは、Unreal Engineを含む多くのアプリケーションで予期せぬ問題を引き起こす可能性があります。
Unreal Engineのログを習慣的に確認する
問題発生時だけでなく、開発中もUnreal Engineのエディタ内にある「出力ログ」ウィンドウを確認する習慣をつけましょう。ここには、エディタの動作に関する警告やエラーがリアルタイムで表示されており、小さな問題が大きなクラッシュに発展する前に気づくことができます。
Unreal Engineのバージョンアップ時の注意
Unreal Engineのメジャーバージョン(例: UE4.27からUE5.0)やマイナーバージョン(例: UE5.1からUE5.2)を更新する際は、既存のプロジェクトをすぐにアップデートせず、互換性や変更点、特に使用しているプラグインの対応状況を事前に確認してから行いましょう。新しいバージョンでプロジェクトのコピーを作成し、そちらでアップデートを試すのが安全です。