Zabbixの運用において、「Cannot update history」エラーは非常に厄介なものの一つです。このエラーは、Zabbixが収集した監視データをデータベースに書き込めないことを示し、監視データの欠損、ひいてはシステム全体の健全性把握に深刻な影響を及ぼします。
この記事では、15年以上の現場経験を持つシニアエンジニアの視点から、このエラーの真の原因と、緊急時の最速解決策、さらには再発防止のための設計・運用アドバイスまでを網羅的に解説します。単なるマニュアル参照では得られない、実践的な知見を提供することをお約束します。
結論:最も速く解決する方法
「Cannot update history」エラーは、多くの場合、Zabbixサーバーが使用するデータベースユーザーの権限不足が原因です。以下の手順で即座に確認・対処が可能です。
- Zabbixデータベースユーザーの権限確認と付与:Zabbixサーバーまたはプロキシが接続しているデータベース(MySQL, PostgreSQLなど)に、十分な書き込み権限を持つユーザーが設定されているかを確認します。もし権限が不足している場合、以下のコマンドで必要な権限を付与してください。
MySQLの場合:
GRANT ALL PRIVILEGES ON zabbix.* TO 'zabbix_user'@'localhost' IDENTIFIED BY 'your_password'; FLUSH PRIVILEGES;(
zabbixはZabbixが使用するデータベース名、zabbix_userはZabbixがDB接続に使用するユーザー名、localhostはZabbixサーバーのIPアドレスまたはホスト名、your_passwordは設定するパスワードにそれぞれ置き換えてください。)PostgreSQLの場合:
ALTER USER zabbix_user WITH PASSWORD 'your_password'; GRANT ALL PRIVILEGES ON DATABASE zabbix TO zabbix_user; GRANT ALL ON ALL TABLES IN SCHEMA public TO zabbix_user; GRANT ALL ON ALL SEQUENCES IN SCHEMA public TO zabbix_user;(
zabbix_userはZabbixがDB接続に使用するユーザー名、zabbixはZabbixが使用するデータベース名、your_passwordは設定するパスワードにそれぞれ置き換えてください。)