VirtualBoxで仮想マシンを起動しようとした際に、「Failed to open a session for the virtual machine」というエラーメッセージが表示され、困惑していませんか?ご安心ください、このエラーはVirtualBoxユーザーによくある問題の一つであり、多くの場合は比較的シンプルな手順で解決できます。
この記事では、このエラーの原因を解説し、特に「仮想マシンの設定ファイル破損」に焦点を当てた最も速く、効果的な解決策をWindowsユーザー向けに具体的にご案内します。すぐに仮想マシンを起動できるよう、一緒に解決していきましょう。
目次
1. VirtualBox: Failed to open a session for the virtual machine とは?(概要と緊急度)
このエラーメッセージは、VirtualBoxが指定された仮想マシンを起動するためのセッション(実行環境)を開始できなかったことを意味します。つまり、仮想マシンの電源が入らず、利用できない状態を示しています。
主な原因としては、仮想マシンの設定ファイル(.vboxファイル)の破損、仮想ディスクイメージ(.vdiなど)へのアクセス問題、ホストOSの仮想化機能との競合、またはVirtualBox自身の不具合などが挙げられます。このエラーが発生すると仮想マシンが使えなくなるため、業務や学習に支障が出る可能性があり、緊急度の高い問題と言えます。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
「Failed to open a session for the virtual machine」エラーの最も一般的な原因の一つは、仮想マシンの設定ファイル(.vboxファイル)の破損です。以下の手順で、このファイルを再生成し、仮想マシンを復旧させましょう。
この方法は、既存の仮想ディスクイメージ(.vdiファイルなど)を再利用するため、データは失われませんが、以前作成したスナップショットや詳細な設定(USBフィルタなど)は失われる可能性があります。
解決策1:破損した.vboxファイルを再生成する
- 現在の仮想マシンをVirtualBoxから登録解除します。
- VirtualBoxマネージャーを起動します。
- エラーが発生している仮想マシンを右クリックし、「削除」を選択します。
- 表示されるダイアログで、「削除のみ」を選択します。これにより、VirtualBoxマネージャーからの登録は解除されますが、仮想ディスクファイルなどの実データはそのまま残ります。
- 破損した
.vboxファイルをバックアップ・移動します。次に、エクスプローラーで仮想マシンの保存フォルダに移動し、現在の.vboxファイルを一時的に移動またはリネームします。以下のPowerShellコマンドを使って実行できます。# ここにエラーが発生している仮想マシン名を正確に入力してください $VM_NAME = "YourVirtualMachineName" # VirtualBoxの仮想マシンが保存されているディレクトリのパスを指定します # 一般的にはC:\Users\[ユーザー名]\VirtualBox VMs\[仮想マシン名] です $VBOX_VM_DIR = "$HOME\VirtualBox VMs\$VM_NAME" Write-Host "仮想マシンのディレクトリに移動します: $VBOX_VM_DIR" Set-Location $VBOX_VM_DIR # 既存の .vbox ファイルをバックアップ(または別の場所に移動)します If (Test-Path "$VM_NAME.vbox") { Write-Host "既存の .vbox ファイルをバックアップします: $VM_NAME.vbox -> $VM_NAME.vbox.bak" Rename-Item "$VM_NAME.vbox" "$VM_NAME.vbox.bak" -Force } else { Write-Host "現在のディレクトリに $VM_NAME.vbox が見つかりませんでした。" } # 以前の設定ファイルである .vbox-prev もあれば同様にバックアップします If (Test-Path "$VM_NAME.vbox-prev") { Write-Host "既存の .vbox-prev ファイルをバックアップします: $VM_NAME.vbox-prev -> $VM_NAME.vbox-prev.bak" Rename-Item "$VM_NAME.vbox-prev" "$VM_NAME.vbox-prev.bak" -Force } else { Write-Host "現在のディレクトリに $VM_NAME.vbox-prev が見つかりませんでした。" } Write-Host "`nこれで、VirtualBox GUIから仮想マシンを再作成し、既存の仮想ディスクをアタッチする準備ができました。" Write-Host "次のステップに進んでください。" - VirtualBoxで新しい仮想マシンを作成し、既存の仮想ディスクをアタッチします。
- VirtualBoxマネージャーに戻り、「新規」ボタンをクリックします。
- 「仮想マシンの作成」ウィザードが開始されます。
- 名前とオペレーティングシステム: 元の仮想マシンと同じ名前、オペレーティングシステム(タイプ、バージョン)を正確に入力します。これにより、VirtualBoxが同じフォルダに新しい
.vboxファイルを生成しやすくなります。 - メモリーサイズ: 元の仮想マシンで使用していたメモリーサイズを設定します。
- ハードディスク: ここが重要です。「既存の仮想ハードディスクファイルを使用する」を選択し、フォルダアイコンをクリックして、元の仮想ディスクファイル(例:
YourVirtualMachineName.vdiなど)を指定します。このファイルは、ステップ2でアクセスした仮想マシンの保存フォルダ内にあります。
- 名前とオペレーティングシステム: 元の仮想マシンと同じ名前、オペレーティングシステム(タイプ、バージョン)を正確に入力します。これにより、VirtualBoxが同じフォルダに新しい
- 「作成」ボタンをクリックして、新しい仮想マシンを完成させます。
- 新しい仮想マシンを起動してみます。これで、新しい
.vbox設定ファイルで仮想マシンが再登録されました。VirtualBoxマネージャーから、新しく作成した(実質的に復旧した)仮想マシンを選択し、「起動」してみてください。ほとんどの場合、これで問題なく起動するはずです。
3. VirtualBox: Failed to open a session for the virtual machine が発生する主要な原因(複数)
上記の方法で解決しない場合、または今後の対策のために、このエラーが発生する他の主要な原因も把握しておきましょう。
- 仮想マシンの設定ファイル(
.vbox)の破損: 最も一般的な原因で、上記で解説した解決策が有効です。 - 仮想ディスクイメージ(
.vdiなど)の破損またはアクセス権の問題: 仮想ディスクファイル自体が破損しているか、Windowsのアクセス権限の問題でVirtualBoxが読み取れない場合があります。 - ホストOSの仮想化支援機能との競合: WindowsのHyper-VやWSL2など、他の仮想化技術が有効になっていると、VirtualBoxと競合して起動できないことがあります。これらの機能を一時的に無効にすることで解決することがあります。
- ホストOSのドライバやVirtualBoxのバージョン不一致: グラフィックドライバやチップセットドライバの古さ、あるいはVirtualBoxと拡張パック(Extension Pack)のバージョンが一致していない場合に発生することがあります。
- メモリ不足やディスク容量不足: ホストOSのメモリが不足している場合や、仮想マシンを保存しているドライブの空き容量が不足している場合にも起動に失敗することがあります。
- USBコントローラなどの設定問題: 仮想マシンの設定で、特定のUSBデバイスやSATAコントローラの設定に問題がある場合、起動に失敗することがあります。
- ゲストOSのセーブ状態破損: 仮想マシンを「状態を保存」で終了した場合、その保存状態が破損していると、次回の起動に失敗することがあります。
4. VirtualBoxで恒久的に再発を防ぐには
同じトラブルに二度と遭遇しないために、以下の対策を習慣化することをお勧めします。
- 定期的なバックアップ:
- 仮想マシンの設定ファイル(
.vbox)と仮想ディスクイメージ(.vdiなど)を定期的に別の場所にコピーしてバックアップしましょう。 - VirtualBoxの「ファイル」メニューにある「仮想アプライアンスのエクスポート」機能を使って、仮想マシン全体を
.ovaファイルとしてバックアップすることも有効です。
- 仮想マシンの設定ファイル(
- VirtualBoxおよびゲストOSのツールを最新に保つ:
- VirtualBox本体とOracle VM VirtualBox Extension Packは常に最新バージョンを使用しましょう。
- ゲストOSにVirtualBox Guest Additionsをインストールし、これも最新の状態に保つことで、互換性問題を減らせます。
- ホストOSの仮想化支援機能を適切に管理する:
- Hyper-VやWSL2など、VirtualBoxと競合する可能性のあるWindowsの機能は、必要な時だけ有効にし、VirtualBoxを使用しないときは無効にしておくことを検討してください。以下のコマンドでHyper-Vを無効にできます(再起動が必要です)。
dism.exe /Online /Disable-Feature:Microsoft-Hyper-V-All dism.exe /Online /Disable-Feature:Microsoft-Hyper-V # WSL2を使用している場合は、PlatformVMも無効にする必要がある場合があります # dism.exe /Online /Disable-Feature:VirtualMachinePlatform # dism.exe /Online /Disable-Feature:Windows-Hypervisor-Platform
- Hyper-VやWSL2など、VirtualBoxと競合する可能性のあるWindowsの機能は、必要な時だけ有効にし、VirtualBoxを使用しないときは無効にしておくことを検討してください。以下のコマンドでHyper-Vを無効にできます(再起動が必要です)。
- 安定したホスト環境を維持する:
- ホストOSのメモリやディスク容量には十分な余裕を持たせましょう。
- ホストOSのドライバ(特にグラフィックドライバ)を常に最新に保ちましょう。
- スナップショットを賢く活用する:
- 重要な変更を加える前や、ゲストOSの安定した状態の時にスナップショットを取得しておきましょう。万が一問題が発生しても、すぐに以前の状態に戻すことができます。