macOS VenturaやSonomaをご利用の際、「System Extension Blocked」というメッセージに遭遇し、不安を感じていることと思います。
ご安心ください。この問題はmacOSのセキュリティ機能によるものであり、多くの場合、簡単な設定変更で解決できます。
この記事では、このエラーの原因から、今すぐ試せる最も効果的な解決策、そして将来的な再発を防ぐためのヒントまでを、分かりやすく解説します。
目次
1. System Extension Blocked とは?(概要と緊急度)
「System Extension Blocked」とは、macOSのセキュリティ機能によって、特定のサードパーティ製ソフトウェア(主にドライバーやセキュリティソフトなど)の「システム機能拡張(Kernel Extension、略してKext)」がブロックされている状態を指します。
これは、macOSが不正なソフトウェアや互換性のないソフトウェアからシステムを保護するために働く、重要なセキュリティメカニズムです。
このメッセージが表示されると、関連するアプリケーションやデバイスが正しく動作しない可能性があります。
緊急度としては、直接的なシステムクラッシュを引き起こす可能性は低いものの、利用したい機能が使えないため、速やかな対処が必要です。
特に、仮想化ソフトウェア、VPNクライアント、セキュリティソフトウェア、一部のハードウェアドライバーなどでよく見られます。
2. 【最速】今すぐ試すべき解決策
「System Extension Blocked」エラーの最も一般的な解決策は、macOSのシステム設定から手動でブロックを許可することです。
以下の手順に沿って、今すぐ試してみてください。
解決策1:システム設定での手動許可
macOS Ventura/Sonomaでは、セキュリティとプライバシーの設定が一元化され、システム機能拡張の許可もここで行います。
- 「System Extension Blocked」の通知が表示されたら、「システム設定を開く」ボタンをクリックします。
もし通知を見逃した場合は、Appleメニューから「システム設定」を開き、サイドバーで「プライバシーとセキュリティ」を選択してください。 - 「プライバシーとセキュリティ」画面を下へスクロールしていくと、「一部のシステムソフトウェアの読み込みがブロックされました」というメッセージが表示され、その横に「許可」ボタンが表示されているはずです。
- 「許可」ボタンをクリックします。
- セキュリティのために、Macのパスワードの入力を求められますので、入力して「ロックを解除」します。
- 場合によっては、一度Macを再起動する必要があります。指示に従って再起動を行うか、手動で再起動してください。
注意点: 「許可」ボタンがグレーアウトしている、または表示されない場合は、お使いのMacがM1/M2チップ搭載モデルで、かつリカバリーモードでセキュリティ設定を変更する必要がある可能性があります。
その場合は、一度Macの電源を切り、電源ボタンを長押しして起動オプションを表示させ、「オプション」からリカバリーモードに入り、「起動セキュリティユーティリティ」で「セキュリティポリシーを下げる」設定を行う必要があります。ただし、この操作はシステムのセキュリティレベルを下げるため、慎重に行ってください。
一般的なインテルMacの場合は、上記の手順で解決することがほとんどです。
手動で再起動が必要な場合のターミナルコマンド (macOS向け)
上記手順で再起動が求められない場合でも、手動で再起動することで問題が解決することがあります。
以下のコマンドはmacOSのターミナルで実行するもので、WindowsのPowerShell/Cmdコマンドではありません。
sudo shutdown -r now
このコマンドを実行すると、すぐにMacが再起動されます。実行前に未保存の作業は必ず保存してください。
3. System Extension Blocked が発生する主要な原因(複数)
このエラーが発生する主な原因は以下の通りです。
- macOSのセキュリティ強化:
macOS High Sierra以降、AppleはKextの使用を厳しく制限し、代わりに「System Extension」という新しいフレームワークへの移行を推進しています。
これは、カーネルレベルでのセキュリティリスクを減らすための重要な変更です。 - 未署名または古いKext:
ブロックされるKextの多くは、Appleによって署名されていないか、新しいmacOSバージョンに最適化されていない古いバージョンです。
Appleは信頼できる開発者による署名がないKextの読み込みをデフォルトでブロックします。 - 互換性のないKext:
お使いのmacOSバージョンと互換性のないKextがインストールされようとすると、システムはこれをブロックします。
これは主に、OSのアップデート後に古いバージョンのソフトウェアやドライバーを使用しようとした場合に発生します。 - 悪意のあるKextからの保護:
極めて稀ですが、悪意のあるソフトウェアがKextの形でシステムに侵入しようとするケースも考えられます。
macOSのセキュリティ機能は、このような脅威からもユーザーを保護します。
4. macOS Ventura/Sonomaで恒久的に再発を防ぐには
将来的に同様のエラーを避けるためには、以下の点に注意してください。
- アプリケーションやドライバーの常に最新の状態に保つ:
「System Extension Blocked」が発生したソフトウェアの開発元が、最新のmacOSバージョンに対応したアップデートをリリースしている可能性があります。
ソフトウェアの公式サイトを確認し、最新版にアップデートしてください。最新版では、Kextではなく新しいSystem Extensionフレームワークが採用されていることもあります。 - 信頼できる開発元のソフトウェアのみを使用する:
不明なソースからのソフトウェアや、開発元が頻繁に更新されていないソフトウェアの使用は避けるべきです。
特に、システムレベルの機能にアクセスするソフトウェアは慎重に選んでください。 - 互換性情報を事前に確認する:
macOSのメジャーアップデートを行う前には、使用している重要なソフトウェアやハードウェアのメーカーが、その新しいmacOSバージョンとの互換性を提供しているかを確認しましょう。 - 必要なければインストールしない:
システム機能拡張を必要とするソフトウェアは、その影響範囲が大きいことがあります。
本当に必要でない限り、安易にインストールしないことが最も安全です。
これらの対策を講じることで、macOSをより安全かつ安定して利用し、「System Extension Blocked」のようなセキュリティ関連のエラーに遭遇する頻度を減らすことができます。
もし問題が解決しない場合や、より専門的なサポートが必要な場合は、ソフトウェアの開発元またはAppleサポートに相談することをお勧めします。